日常の何気ない会話が、思わぬ法的トラブルを招くことがあります。特に他人の評判や名誉に関わる発言は注意が必要です。本記事では「スナックによく行っている」といった発言が名誉毀損となる可能性や、訴えられる要件、少額訴訟による解決の可否について解説します。
名誉毀損とは?法律の基本を押さえよう
名誉毀損とは、人の社会的評価を下げるような事実を公然と示す行為を指します(刑法230条)。ここでの「社会的評価」とは、その人が周囲からどのように見られているかという信頼や評判です。
たとえば「スナック通いが激しい」「遊び人である」といった話題が、相手の評判を落とすような内容であれば、名誉毀損の構成要件に該当する可能性があります。
発言の場と人数がポイントになる
名誉毀損が成立するかどうかは、発言された場所や、どれだけの人に伝わったかが大きく関係します。
- 本人不在の場で話した場合でも、公然性(不特定多数または多数人に知れ渡る可能性)があるかが重要
- 家庭内など閉ざされた場で、家族数人のみに話した場合は名誉毀損とまでは言い難い
つまり、当該の「スナックに通っている」という発言が、広範囲に伝播していなければ、法律的には軽微な内容と判断される場合もあります。
事実でないなら「名誉毀損」になるのか?
重要なのは、事実であるかどうかではなく、その発言が社会的評価を傷つけたかどうかです。たとえ嘘であっても、「○○さんは夜な夜な遊び歩いているらしい」といった内容を人前で言えば、名誉毀損とみなされる可能性があります。
ただし、一度限りの会話で、意図的に傷つける目的がないなど、悪質性が低い場合は、刑事ではなく民事での対応が現実的です。
少額でも訴えられる?名誉毀損と損害賠償
名誉毀損は民事で損害賠償請求が可能です。金額が少額でも内容により請求は可能です。例えば「10万円以下の慰謝料」などであれば、少額訴訟制度を使って比較的簡単に訴えることができます。
ただし、実際に訴えるには以下の要件を満たす必要があります。
- 名誉を毀損した証拠(録音・LINE・証言など)
- 社会的評価を下げたという実質的な影響
- 損害の程度が客観的に説明できる
加えて、発言からの時間経過も問題となる場合があり、数年が経過している場合は「時効」や「信義則」により棄却される可能性もあります。
訴える前に冷静な対応を
発言内容に納得がいかず、怒りを感じることもあるかもしれませんが、法的手段を選ぶ前に冷静に事実関係と証拠を整理することが重要です。また、感情的に訴訟を起こすことで、関係がさらに悪化する可能性もあります。
もし解決を望むのであれば、まずは弁護士や法テラスで無料相談を受け、第三者の意見を聞くことをおすすめします。
まとめ:名誉毀損をめぐるトラブルには慎重な対応を
「スナックに通っている」という発言が名誉毀損となるかは、その発言の意図や広まり方、そして実際に社会的評価が下がったかどうかによって判断されます。少額でも訴訟は可能ですが、証拠や状況の整理が必要です。
日常の会話でも、相手の名誉を損なうような内容を安易に口に出さないことが、無用なトラブルを避けるための第一歩です。