将来的な工事や埋設物の保守計画に向けて、道路内に埋設されているインフラ設備(水道管、下水道管、ガス管等)の位置を確認するために「試掘」を行うケースが増えています。この記事では、そのような試掘作業が道路法上どのように扱われるのか、具体的な申請手続きや注意点について解説します。
道路における占用と施工の法的な違い
まず知っておきたいのが、道路法における「占用」と「施工」は異なる概念であるということです。道路に何らかの施設や物件を設置する場合は、道路法第32条に基づく「道路占用許可」が必要です。一方、道路を掘削するなどの工事を伴う場合は、道路法第24条に基づく「施行承認」が求められます。
つまり、地中にある既存の埋設物を確認するために行う試掘は、基本的には一時的な施工行為と見なされ、道路法第24条の対象となることが一般的です。
試掘は「占用」ではなく「施行」に該当する理由
試掘とは、既設の埋設物の位置や状態を確認するために道路を一時的に掘削する行為です。この行為は、恒常的に物件を設置するわけではなく、工事完了後には原状復旧されることが前提です。
したがって、試掘は「占用」(32条)のように物件の継続的設置とは異なり、「道路の形状変更・掘削」などを行う施行として解釈され、24条の施行承認が求められるのが通例です。各自治体でもこのような解釈が一般的となっています。
実務における道路法24条の施行承認手続き
道路法第24条に基づく施行承認を受けるためには、管轄の道路管理者(国・都道府県・市町村など)へ申請書を提出する必要があります。申請書には、施工計画書、位置図、復旧図面、交通規制計画などを添付することが求められます。
また、工事の内容によっては警察への道路使用許可が必要になることもあるため、事前に関係機関との調整を行うことが重要です。
例外的に32条の占用許可が関わるケース
試掘に関連して、もし仮設的に観測機器を設置する、埋設管にマーキングを行うなどの行為があり、それが一定期間道路に残置されるような場合は、32条の占用許可が必要になる可能性があります。
例えば、通信ケーブルの引替えを伴う調査の中で、仮設の標識ポールや測定機器を一定期間設置するようなケースでは、占用申請も併せて求められることがあります。これらは道路管理者の判断によるため、必ず事前協議を行いましょう。
事前協議と地元調整の重要性
道路に関連する工事や試掘は、公共の利便性や安全性に影響を与えるため、道路管理者だけでなく、住民や周辺施設、警察との調整も必要となることがあります。
たとえば、通学路での試掘や繁華街での夜間工事などでは、交通安全や騒音対策への配慮も重要です。実際の施工に先立ち、十分な地元調整を行っておくことで、トラブルの回避とスムーズな進行が可能になります。
まとめ:試掘は24条に基づく施行承認が原則
道路内の埋設物を確認するための試掘は、道路法上「施行行為」として分類されるのが一般的であり、道路法第24条に基づく施行承認の取得が必要です。占用とは異なる概念であるため、申請の際は目的や施工内容を明確にし、適切な法的手続きを行うことが大切です。
加えて、道路管理者や警察との事前調整をしっかり行うことで、安全かつ円滑な試掘作業の実施が可能になります。試掘の計画がある方は、ぜひ本記事を参考に正確な申請手続きを心がけてください。