海外に住む親が亡くなった場合の相続手続きとは?国をまたぐ相続のポイントを解説

グローバル化が進む中、家族が海外で生活するケースも増えています。特にハーフや国際結婚などを背景に、親が外国に持ち家を持っているといった状況も珍しくありません。もし海外に住む親が亡くなった場合、相続はどのように進めればよいのでしょうか?この記事では、国をまたぐ相続の基本や手続きの流れをわかりやすく解説します。

海外にある不動産の相続:管轄はどこ?

原則として、不動産の相続はその不動産が存在する国の法律に基づいて行われます。つまり、たとえ日本人の親が亡くなっても、不動産が海外にある場合はその国の相続法が適用されるのが一般的です。

たとえば、お母様がフィリピンに不動産を所有していて亡くなった場合、相続手続きはフィリピンの法律に従うことになります。日本の法律が適用されるのは、主に日本国内の財産に対してです。

国籍が異なる親子の場合の相続の注意点

被相続人(親)と相続人(子)で国籍が異なる場合でも、相続そのものが否定されるわけではありません。ただし、それぞれの国の法律や税制に従って手続きを進める必要があり、複雑化しやすい点に注意が必要です。

たとえば、海外の法律で「外国人は不動産を相続できない」と規定されている場合や、日本側でも海外資産を相続した場合の「国外財産調書」の提出が義務付けられることがあります。

手続きに必要な基本的書類

一般的に以下のような書類が必要となるケースが多いです。

  • 被相続人の死亡証明書(現地のもの)
  • 戸籍謄本・家族関係証明書(日本で取得)
  • 遺言書(ある場合)
  • 不動産の権利証や登記簿情報

書類は翻訳や公証人による認証が必要な場合があるため、手続きには時間とコストがかかることも覚悟しましょう。

相談先と情報収集のポイント

このようなケースでは、海外相続に詳しい弁護士や「司法書士」「行政書士(国際業務に強い専門家)」への相談が有効です。また、以下のような公的機関や窓口も活用できます。

  • 外務省の在外公館
  • 各国の大使館や領事館(現地法の概要が分かることも)
  • 日本公認会計士協会の国際相続相談窓口

ネット上では、「国際相続」や「クロスボーダー相続」などのキーワードで検索することで、最新の事例や手続きの流れを把握できます。

実例紹介:カナダ在住の母のケース

たとえば、カナダに住む日本国籍の母が亡くなり、トロントに不動産を所有していた事例では、以下のような手続きを踏みました。

1. カナダの弁護士を通じて遺産整理プロセスを開始
2. 日本の戸籍と翻訳文を提出
3. 不動産の名義変更にはカナダの裁判所の承認が必要
4. 日本の税務署へ「国外財産調書」の提出

このように、手続きの一部は日本と現地の二国間にまたがることがほとんどです。

まとめ:国を越える相続には早めの準備と専門家の支援を

海外に住む親が亡くなった場合の相続手続きは、国内の相続とは異なるルールが適用されます。特に不動産の相続は複雑になりやすいため、早めに情報を集め、信頼できる専門家に相談することが大切です。

国籍が異なるケースでも相続は可能ですが、法制度や手続きの違いを理解し、余裕をもって準備することでスムーズに相続を進めることができるでしょう。

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