交通事故の被害者となり、現在リハビリを受けている方にとって、治療費の扱いや慰謝料の計算は非常に重要なポイントです。特に「機械を使った治療」と「理学療法士など人によるリハビリ」では保険会社の支払いや慰謝料の金額に差が出るのか、気になる方も多いでしょう。本記事では、事故後のリハビリと慰謝料に関する基本的な仕組みをわかりやすく解説します。
リハビリ費用の計上方法と実費の扱い
交通事故後のリハビリでは、健康保険ではなく自賠責保険や任意保険を使うケースが多く、治療費やリハビリ費用は原則として全額補償されます。
費用の金額は治療内容によって異なります。機械による物理療法(牽引など)は比較的安価で、1回あたり数百円〜数千円程度。一方、人の手によるリハビリ(理学療法士や作業療法士の施術)は高額で、1回あたり数千円〜1万円を超える場合もあります。
慰謝料との関係:内容よりも「通院日数」がカギ
慰謝料の金額は、治療内容よりも通院頻度と期間によって計算されます。たとえば自賠責保険における慰謝料の計算方法は以下のとおりです。
- 1日あたり4,300円
- 「実通院日数×2」か「治療期間(日数)」のいずれか少ない方×4,300円
つまり、機械による治療でも人によるマッサージでも、1日通院すれば1日分の慰謝料が加算される仕組みです。治療内容によって慰謝料額が上下することは原則ありません。
理学療法士の治療と医師の指示の関係
保険適用で人による施術を受ける場合は、医師の診断と指示に基づいている必要があります。具体的には、理学療法士によるマッサージや運動療法は「医療機関内でのリハビリ」に該当するため、正規の診療として扱われます。
しかし、接骨院や整骨院での施術は医師の指示がない限り任意保険会社が認めないことがあるため、慰謝料や治療費に含まれない可能性があります。
機械治療と手技リハビリ:保険上の扱いの違い
物理療法(例:腰の牽引、電気治療)と手技療法(例:理学療法士のマッサージ)は、保険点数も異なり、1回あたりの単価にも差があります。
例として。
治療内容 | 1回あたりの目安料金 |
---|---|
牽引・電気治療 | 500〜1,000円程度 |
理学療法士のリハビリ | 2,000〜5,000円程度 |
ただし、これらはすべて事故相手の保険会社が負担するため、被害者の実費負担はありません。
慰謝料以外に受け取れる補償とは
事故の被害者が受け取れる補償には以下のような種類があります。
- 治療費:通院・薬・検査など全額補償
- 通院慰謝料:精神的苦痛に対する補償
- 交通費:通院にかかる交通費(バス・電車・タクシー等)
- 休業損害:通院や療養のために仕事を休んだ場合の損失
慰謝料だけでなく、上記のような費用も忘れず請求しておくとよいでしょう。
まとめ
交通事故後のリハビリにおいて、機械による治療と人の手による治療では1回あたりの金額に違いはありますが、慰謝料は通院回数や期間に基づいて計算されるため、治療の種類による差は基本的にありません。大切なのは、適切な通院と証拠(診断書や通院記録)を残すことです。保険会社とのやり取りに不安がある場合は、交通事故に強い弁護士や行政書士に相談するのも有効です。