自己破産申立て前の家計収支表が赤字でも大丈夫?免責と管財事件の判断基準を解説

自己破産の申立てを検討している方にとって、「家計収支表」は非常に重要な書類です。中でも申立て前の月に赤字があると「浪費」と判断されるのではないか、「免責が認められないのでは」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、自己破産における家計管理の重要性や、収支の赤字が与える影響、そして同時廃止・管財事件の判断基準について詳しく解説します。

家計収支表が重視される理由とは?

自己破産では、債務者の生活態度や家計管理能力が重要視されます。家計収支表は、その判断材料となる書類であり、収入と支出がきちんとバランスをとれているかを確認するために提出が求められます。

裁判所が求めるのは、「浪費をしていない健全な家計管理」です。すべての月が黒字である必要はありませんが、赤字の月がある場合には、その理由や使途が合理的かどうかが見られます。

赤字があっても免責不許可になるとは限らない

仮に、家計収支表の一部の月が赤字だったとしても、すぐに免責不許可となるわけではありません。重要なのは、赤字の理由が生活必需品や医療費、教育費など正当な支出かどうかです。

例えば、次のようなケースであれば、赤字であっても免責が認められる可能性があります。

  • 急な医療費が発生した月
  • 子どもの学費や教材費が一時的に膨らんだ
  • 生活用品の買い替えで支出が増えた

逆に、ギャンブルや高額なブランド品の購入など、浪費と見なされる支出がある場合は、管財事件扱いとなりやすくなります。

同時廃止と管財事件の分かれ目

破産事件が「同時廃止」になるか「少額管財・管財事件」になるかの判断基準の一つに、免責不許可事由の有無があります。

  • 同時廃止:浪費などの問題が見られず、財産も少ないケース。手続きが簡素で弁護士費用も比較的安く済みます。
  • 管財事件:免責不許可事由の疑いがあり、破産管財人による調査が必要なケース。費用と時間がかかります。

したがって、赤字の内容が浪費的であったかどうかが重要なポイントとなります。

申立ての時期を調整することも有効

弁護士と相談しながら、申立てのタイミングを調整することも可能です。たとえば、5月が赤字だった場合、6月と7月を黒字にしてから8月に申立てすることで、裁判所に対して家計改善の努力を示すことができます。

このような配慮は、同時廃止扱いになる可能性を高め、全体の手続きもスムーズに進みます。

次のチャンスはある?破産制度は再出発のための制度

自己破産制度は、再出発を支援する制度であり、失敗したからといって永久に使えなくなるものではありません。たとえ一度の申立てが見送られたとしても、生活再建に努める姿勢を継続すれば、再度の申立ても可能です。

現時点でうまくいかないことがあっても、記録と反省を活かし、家計の改善に取り組むことで、将来の再申立てにも前向きな材料となります。

まとめ

家計収支表が一時的に赤字でも、それだけで自己破産が認められないということはありません。重要なのは、赤字の理由が妥当であること、そしてその後の家計改善の努力を見せることです。弁護士と相談しながら申立ての時期を見極め、裁判所に信頼される申請を目指しましょう。自己破産は「やり直し」のための制度。過去の反省と向き合い、未来へつなげる第一歩として活用することが大切です。

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