弁護士との関係が終了したと思っていたのに、数年後に「未清算の費用があります」と連絡が届いたら戸惑う方も多いでしょう。今回は、2年前の案件に関する弁護士からの追加請求について、法的な観点からどのように考えるべきかを整理し、放置してもよいのか、支払義務はあるのかをわかりやすく解説します。
弁護士費用の請求に時効はあるのか?
まず、弁護士費用の請求にも時効があります。2020年4月施行の民法改正により、原則として債権の消滅時効は「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い方となっています。
つまり、たとえ2年前の請求であっても、時効はまだ完成していないため、弁護士側からの請求は法的には有効であり、基本的には支払義務が残っている可能性があります。
請求の根拠は契約にある
弁護士との委任契約書や見積書、請求書などの書面には、報酬や費用の支払い条件が明記されていることがほとんどです。この契約内容に基づいて、残額がある場合は法的に請求可能となります。
ただし、当初提示された費用と最終請求額に大きな差がある場合や、清算が完了していたと認識していた場合には、交渉や説明を求める余地もあります。内容を確認せずに放置するのは得策ではありません。
請求の信頼性を確認する方法
2年も経ってからの請求だと「本当に正当なものなのか?」と疑問を抱くのも当然です。まず以下の点を確認しましょう。
- 契約当時の請求書・明細書・領収書を再確認する
- 追加請求の理由が明確に説明されているか
- すでに支払い済みである証拠(振込履歴など)はないか
これらの情報を踏まえ、弁護士に請求の内訳や未収金の根拠について説明を求めることが大切です。不明瞭な点がある場合は、他の法律事務所にセカンドオピニオンを依頼するのも有効です。
支払わずに放置した場合のリスク
請求に納得できないからといって一切無視するのは危険です。弁護士側が訴訟を起こすことも可能であり、少額であっても裁判になれば費用と手間が増えるリスクがあります。
また、誠実な対応を怠った場合、「信義則違反」や「悪意の債務不履行」と評価されかねず、自分に不利な事情を積み重ねてしまう恐れもあります。
和解や分割払いの提案も選択肢
もし支払額に納得はしているが一括での支払いが難しい場合は、和解交渉や分割払いを提案するのも現実的な対応です。弁護士側も訴訟を避けたい事情があることが多く、柔軟な解決に応じてもらえるケースがあります。
また、契約書ややりとりの証拠が不十分な場合、支払い義務が一部否定されることもあるため、交渉の余地は十分にあります。
まとめ
2年前の弁護士費用の追加請求は、時効が完成していなければ原則として支払う義務があります。しかし、請求の根拠が不明確だったり、契約に反していると感じる場合には、請求内容の精査と説明の要求が必要です。
放置することでトラブルが深刻化するリスクもあるため、冷静に内容を確認し、必要に応じて交渉や相談を行うことが望ましい対応と言えるでしょう。