通話録音の法律とマナー:カスタマーセンターの録音の目的と、ユーザー側の録音は違法?

カスタマーセンターや企業の問い合わせ窓口に電話をすると、「通話内容を録音させていただきます」というアナウンスが流れることは日常的によくあります。この録音の目的や、反対にユーザー側が録音する場合の法的な問題について、正しい知識を持っておくことは重要です。この記事では、通話録音に関する法律やマナー、企業と利用者双方の権利について詳しく解説します。

企業が通話を録音する理由とは?

企業側が電話の録音を行う理由は、単なる「通話品質向上」だけではありません。具体的には以下の目的が挙げられます。

  • ① 応対品質の管理・教育:オペレーターの応対内容を確認し、対応レベルの標準化を図る。
  • ② トラブル防止・証拠保全:言った・言わないの水掛け論を避けるため、客との会話を記録。
  • ③ クレーム・ハラスメント対策:過度な要求や暴言から従業員を守るため。

つまり、録音は顧客との信頼関係を築く目的でもあり、近年はコンプライアンス強化の観点から導入が加速しています。

利用者が録音するのは違法なのか?

結論から言うと、自分が当事者である会話を録音すること自体に違法性はありません。日本の法律では、通話の録音は「盗聴」には当たらず、刑事罰の対象とはなりません。

ただし、録音した音声を無断で第三者に提供したり、SNSなどに公開すると、名誉毀損やプライバシー侵害の問題に発展する可能性があるため、注意が必要です。

実例:ある消費者がサポートセンターとのやり取りを録音し、内容に不満があったとしてSNSにアップロードしたところ、企業側から法的措置の警告を受けたケースがあります。

「録音します」と伝えるべきか?

ユーザーが録音をする場合、事前に相手へ伝える義務は法律上ありません。しかし、相手に対して「録音します」と明言することで、トラブルの抑止や誤解の防止になる場合もあります。

ただし、通話の冒頭でいきなり「録音させてもらいます」と伝えると、相手が委縮してしまったり、通話を拒否される可能性もあるため、丁寧な表現で説明することが望ましいです。

例:
「確認のため、会話を録音させていただいてもよろしいでしょうか?」

録音した音声の適切な使い方

録音データは、以下のような場面で役立ちます。

  • 契約トラブルの証拠として:サービス説明と実際の内容に食い違いがある場合。
  • 消費者相談・行政機関への提出:録音データを元に、消費生活センターなどへ相談。
  • 自分の対応の見直し:感情的にならずに交渉できたか、振り返りに使う。

公開や共有は慎重に行い、相手の名誉やプライバシーを侵害しないよう心がけましょう。

まとめ

企業が通話録音を行うのは、主にトラブル予防と応対品質の維持のためです。一方、利用者が通話を録音することも法的には認められていますが、その取り扱いには注意が必要です。録音をする際は目的を明確にし、相手への配慮も忘れずに行うことで、円滑なコミュニケーションとトラブル回避に役立ちます。

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