配信中に公共の場で放尿した場合に問われる罪とその法的リスクを解説|器物損壊・業務妨害・公然わいせつ罪の可能性

近年、ライブ配信中に違法行為を行う配信者が問題視されています。中でも、店舗内での放尿や露出行為といった迷惑行為は、重大な法的リスクを伴います。今回は、カラオケ店などの施設内で配信者が放尿した場合に考えられる罪名や、実際に課される可能性のある刑罰について、具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。

配信中の放尿行為で成立し得る主な罪

まず、配信者が公共施設内で放尿行為を行った場合、以下の3つの罪が問題となります。

  • 器物損壊罪(刑法261条)
  • 威力業務妨害罪(刑法234条)
  • 公然わいせつ罪(刑法174条)

それぞれの構成要件と適用の可能性について、以下で詳しく見ていきます。

器物損壊罪|建物や設備に対する損壊

トイレ以外の場所で放尿し、店舗の床や備品などを汚損した場合、それが清掃などでは回復できない著しい損傷と判断されれば、器物損壊罪が成立する可能性があります。

例えば、カーペットに尿が染み込み、クリーニングでは除去できず交換が必要になった場合は「損壊」と評価されやすく、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科され得ます。

威力業務妨害罪|業務の正常な遂行を妨げる行為

放尿行為によって店舗の通常営業が中断された場合、その行為が「威力」にあたるとされ、威力業務妨害罪が成立します。威力には、物理的な力に限らず、社会通念上業務を妨害するに足りる程度の行動が含まれます。

例として、従業員が対応や清掃のために本来の業務を一時的に停止し、他の客の迷惑になる状況が発生した場合は、「威力による業務妨害」と評価されることがあります。この罪の法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

公然わいせつ罪の適用の可否

放尿の過程で、パンツを脱いで局部を露出し、その様子をライブ配信などで不特定多数に見せていた場合、公然わいせつ罪が成立する可能性があります。この罪は「公然」と「わいせつ」の両要件が必要です。

「公然」とは、不特定または多数人が認識し得る状態であること、「わいせつ」は社会通念上性的羞恥心を害する態様を指します。配信での公開行為は不特定多数への可視性があるため、公然性を満たし得ます。

この場合、刑罰は6か月以上7年以下の懲役であり、他の罪に比べても重い刑罰が科される可能性があります。

実際に起訴された場合の量刑は?

仮に公然わいせつや業務妨害罪などで起訴された場合、過去の判例や類似事例では、初犯であっても略式起訴で罰金刑(20〜50万円)となるケースや、情状が悪い場合は正式裁判となり懲役刑が科されることもあります。

特に、配信による影響力や模倣犯を誘発する危険性が考慮されれば、より重く処罰される傾向があります。

まとめ|軽はずみな行動が重大な法的責任に

配信中の放尿や露出行為は、たとえ「ネタ」や「悪ふざけ」のつもりでも、器物損壊、業務妨害、公然わいせつなど複数の罪に該当する可能性があります。その刑罰は罰金だけでなく、場合によっては懲役刑となる重い結果をもたらします。

表現や娯楽の自由の範囲を逸脱した行為は、社会的信用や将来にも大きな影響を及ぼすため、安易な配信行動には十分な注意が必要です。

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