高速道路上で発生する事故。私たちはそのたびに長時間の渋滞に巻き込まれ、移動時間や予定に大きな影響を受けます。中には「なぜもっと早く処理できないのか？」と疑問を抱く人も多いはずです。実際、海外では事故処理をスピーディーに進め、渋滞を最小限に抑える取り組みが進んでいます。本記事では、日本と海外の事故処理対応の違いや、日本でも改善できる点について考察します。
海外で注目される「迅速な事故処理」の実例
話題となっているのが、YouTubeなどで紹介される高速道路上での事故処理動画です。たとえば中国やアメリカでは、事故が発生しても大型のレッカー車やクレーンが迅速に出動し、まずは事故車を速やかに移動させ、通行帯を早期に確保する対応が目立ちます。
現場での調査や事故原因の記録は後日、別の場所で行う場合もあり、「まずは通行車両の安全と流れの確保を最優先」という考えが定着しています。
日本の事故対応はなぜ時間がかかる？
一方で、日本では事故が発生すると警察や消防、NEXCO（道路管理者）などが現場に到着し、事故状況の詳細な記録や現場保存、被害者の救護などを丁寧に行います。これは刑事・民事責任を明確にするためでもあり、安全重視・手続き重視の文化とも言えるでしょう。
しかしその結果、通行止めや大規模な渋滞が長時間にわたって続くことも少なくありません。たとえば高速道路での死亡事故の場合、数時間にわたる通行止めが発生し、数十キロに及ぶ渋滞が報告されることもあります。
交通渋滞が社会に与える影響
長時間の渋滞は個人のストレスだけでなく、社会全体にも大きな負担をもたらします。
- 物流の遅延による経済損失
- 救急搬送や通勤・通学への影響
- 二次事故のリスク増加
海外と比較すると、日本では「事故＝数時間の交通混乱は仕方ない」という前提が根強く、それが改善の足かせになっている可能性があります。
日本でもできる？事故処理の迅速化に向けた取り組み
近年、日本でも事故対応の効率化に向けた取り組みが始まっています。たとえば、NEXCOは「初動対応のマニュアル化」や「緊急時の無線連携強化」、「ドローンによる上空撮影と現場記録」などを進めています。
また、損保業界や警察との情報連携によって、現場での処理時間を短縮するという試みも一部で始まっています。ただし、安全確保とのバランスをとる必要があるため、制度改正や合意形成には時間がかかるのが実情です。
市民としてできることはあるのか？
一人ひとりが事故発生時に協力的に行動することも、渋滞の悪化を防ぐ一助になります。
- 事故現場付近での「のぞき見運転（いわゆる“見物渋滞”）」を避ける
- 警察や係員の誘導には速やかに従う
- ドライブレコーダーなどの提供で事故処理を支援する
また、災害や重大事故時には安易にSNS等で情報を拡散せず、正確な情報の共有に努めることも重要です。
まとめ｜渋滞を「我慢」ではなく「改善」する時代へ
日本では事故処理に時間がかかるのが当たり前という風潮が根付いていますが、世界に目を向けると「早期の現場復旧」と「安全の両立」を実現している国もあります。制度や文化の違いはあるものの、私たちが考えるべきは「渋滞を我慢する」のではなく、「どうすればもっと早く、安心して通行再開できるか」という改善視点です。
今後、よりスマートで迅速な事故対応が広がっていくことを期待しつつ、私たちも交通安全と合理的な交通運用について関心を持っていきたいところです。