車のドアパンチ被害で示談が成立しても、その後に発生する領収書や修理の有無に関するトラブルで悩まされる方は少なくありません。本記事では、示談後のトラブルでよくある「修理費と示談金の差額」や「領収書の請求」、さらには加害者が修理の有無を確認しようとする行動の法的扱いについて、実例をもとに解説します。
示談とは何か?法的な意味を理解する
示談とは、当事者間でトラブルの解決を話し合い、合意に至ることを指します。ドアパンチのような物損事故の場合、加害者が示談金を支払うことで「これ以上請求しない」旨の合意が成立することが多いです。双方の同意で成立するため、合意内容は重要な法的拘束力を持ちます。
たとえば、「修理の有無を問わず◯円で解決する」と記載された示談書がある場合、その金額を受け取った時点で損害賠償の請求権は終了します。
修理代よりも示談金が多かった場合、返金義務はあるの?
この問題は非常に繊細ですが、示談時に「修理に使う」と約束していない限り、示談金の使途は基本的に自由です。あくまでも「この金額で解決する」という合意がある限り、その後実際にいくらで修理したかは関係ないとされています。
ただし、最初から「修理する気がなかった」「虚偽の見積書で示談金をつり上げた」など悪意のある行為があった場合は、詐欺と判断されるリスクもゼロではありません。ですが、実際の事故があり、修理の意思があることを明示しているなら詐欺に該当することはまずありません。
加害者の「領収書を出せ」は法的に正当か?
加害者側が「領収書を見せろ」「修理証明を出せ」と求めることがありますが、示談が成立していれば原則として応じる義務はありません。もし求められても、「既に合意のもとで示談金を受け取った」「領収書も送った」と伝えることで対応可能です。
さらに、示談後の繰り返しの要求や執拗な連絡は、名誉毀損・ストーカー規制法違反・業務妨害等に該当する可能性もあるため、必要に応じて法的措置を検討しましょう。
ディーラーへの電話で個人情報は漏れるのか
加害者がディーラーへ直接連絡を取り「修理したかどうか」などを確認しようとする行為は、個人情報保護の観点から問題があります。ディーラー側が顧客本人の同意なく情報を提供することは、個人情報保護法違反となる可能性があります。
実際には「修理の有無」「請求内容」「支払者の情報」などは本人確認がない限り話すべきではない情報です。もし、ディーラーがこのような問い合わせに応じた場合は、その旨を記録し、必要なら消費者センター等へ相談しましょう。
トラブルを避けるためのポイント
- 示談時に書面を残す(示談書):支払いの目的、示談後の請求権放棄を明記
- 領収書を1度送ったら再提出義務はない:法的拘束力のある再請求にはならない
- しつこい要求には「弁護士に相談しています」と伝える:抑止力となる
- 修理予定であれば、実施時期がずれても問題ない
修理の有無が問題となるのは「騙して金を取った」場合だけであり、怪我や入院などやむを得ない事情があるなら法的な問題にはなりません。
まとめ
ドアパンチの示談後における領収書トラブルや修理代との差額問題は、示談の内容と当事者のやり取りの記録が非常に重要です。相手が過度に執着してくる場合は、感情的に対応せず、冷静に「すでに示談成立済である」ことを伝えましょう。
また、無用なトラブルを避けるために今後は法的な専門家(弁護士)の助言を受けながら対応することを強くおすすめします。安心して過ごすためにも、法に則った正当な手続きを心がけましょう。