イラストレーターにキャラクターの作成を依頼し、その後自身の活動でアイコンとして使用するケースは、VTuberや配信者の間で一般的になっています。しかし「著作権譲渡なし」の契約条件だった場合、そのキャラを使い続けることに問題が生じることもあります。この記事では、著作権の基本と配信活動におけるキャラクター使用のリスクと対策を解説します。
著作権とは何か?基本を理解する
著作権は、創作されたイラストや音楽、小説などの著作物に対して自動的に発生する法律上の権利です。日本の著作権法では、イラストの作者(=イラストレーター)が原則としてその著作権を持ち、譲渡契約がない限り第三者は自由に使用・加工・商用利用することはできません。
依頼者が報酬を支払ってイラストを描いてもらった場合でも、著作権は依然として作者に残るのが原則です。そのため、使用範囲は「許諾を受けた範囲内」に限られます。
「アイコン利用のみ可」などの使用条件があるケース
たとえば、「アイコン利用の範囲で使用可能」と明記された契約書がある場合、配信者が有名になったとしても、その用途を超えて利用する(グッズ化・広告に使用など)と著作権侵害にあたる可能性があります。
また、作者側が「利用は非商用に限る」としていた場合、配信活動に広告収入が発生すると「商用利用」と解釈され、追加料金を請求される事態になることもあります。
トラブルの実例:有名になってからの追加請求
実際にあった事例では、活動初期に「無料でアイコン使用可」と言われたイラストを使い続けていたところ、登録者数が増えた後に「商用利用扱いになるのでライセンス料を払ってほしい」と請求されたケースがあります。
このようなトラブルは、事前の使用許諾の条件が曖昧だった場合や、書面での契約を結ばなかった場合に特に起こりやすくなります。
支払わないとどうなる?使用中止の可能性
もし使用条件を超えてキャラクターを使用していると作者に判断され、「ライセンス料を払わなければ使用を停止してほしい」と要請された場合、著作権者が正当な権利を主張している限り、使用を継続することは法的に困難です。
このような要求を無視し続けると、著作権侵害による削除請求や損害賠償請求といった法的措置につながるリスクがあります。
トラブルを防ぐための対策と契約のポイント
将来のトラブルを避けるためには、イラスト依頼時に以下の点を明確にしましょう。
- 使用範囲:アイコン・配信活動・商用利用(グッズ化や広告使用)など用途を具体的に記載
- 著作権の扱い:譲渡か使用許諾かを明確にし、できれば書面契約(電子契約も可)を結ぶ
- クレジット表示:必要かどうか、どのように表記するか
- 有名になった後の追加条件:報酬追加の有無やライセンス料の基準を事前に取り決める
テンプレートの契約書を活用し、双方で納得のいく内容にすることが重要です。
まとめ
イラストレーターに依頼して作成されたキャラクターでも、著作権譲渡がなければ原則として著作権は作者にあります。有名になった後に利用料を請求された場合、支払わなければそのキャラクターを使い続けることは困難です。トラブルを避けるには、最初の段階で使用条件や著作権の所在を契約書などで明文化しておくことが何よりも重要です。