自転車事故で重大な結果が生じたらどうなる?加害者の責任・前科・保険対応の現実を解説

自転車に乗っていて歩行者と接触してしまった場合、たとえ重大な過失がなかったとしても、相手に大きな怪我が残ることになれば、その後の責任は極めて重いものになります。今回は、もしも相手が死亡したり重度の障害を負った場合、加害者としてどのような責任を問われるのか、そして保険の有無によって何がどう変わるのかを詳しく解説していきます。

自転車でも刑事責任が問われるケースはある

自転車は「軽車両」として道路交通法上の義務を負う乗り物です。重大な事故を起こした場合、過失が認められれば「重過失致死傷罪」や「業務上過失致死傷罪」などで刑事責任を問われる可能性があります。

逮捕=即懲役ではありませんが、事故直後に実況見分や取り調べが行われることがあり、被害が重い場合は身柄を拘束される可能性もゼロではありません。

刑事処分と前科の有無

重大事故の場合、送検されてから検察が起訴・不起訴を判断します。不起訴で終われば前科はつきませんが、略式起訴で罰金刑を受けた場合でも「前科」扱いになります

たとえば、過去に小学生の自転車が高齢者にぶつかり、後に死亡させた事例では、保護者が高額な損害賠償責任を負っただけでなく、民事・刑事の両方で大きな影響を受けています。

損害賠償責任と金額の目安

民事上の責任としては、被害者の治療費や慰謝料、後遺障害による逸失利益などが請求されます。死亡事故や重度後遺障害が発生すれば、数千万円~1億円超の請求がなされることもあります。

過去の判例では、小学生の自転車事故で被害者が意識不明となったケースにおいて、約9,500万円の損害賠償命令が出されたこともありました。

保険の有無で変わる現実

自転車保険に加入していれば、こうした高額な賠償責任の大部分は保険会社が対応してくれます。最近では多くの自治体で自転車保険加入が義務化・推奨されており、加入していることが“命綱”になるケースも少なくありません

保険に入っていなかった場合は、自己資産の差し押さえや分割払いによる長期間の返済義務が生じることになります。場合によっては自己破産に追い込まれる可能性もあります。

実際の事故事例から学ぶべきこと

事例1:中学生の自転車が歩行中の女性をはね、女性が脳に重度の障害を負った事故では、母親が監督義務違反として約9,500万円の賠償責任を負いました。

事例2:高校生の自転車が一時停止を無視し、車と接触。車の運転手が急ハンドルで避けて転倒し、肩を骨折。高校生側に治療費と慰謝料の支払い命令。

どちらも「少しの油断」が大きな損害へとつながっています。

まとめ

自転車は誰でも乗れる手軽な乗り物ですが、ひとたび事故を起こせば、刑事・民事両面で重い責任を問われる可能性があります。「保険に入っていたから助かった」という事例は実際に多く、備えの有無が運命を分けるといっても過言ではありません。事故後の行動、保険の有無、安全運転への意識すべてが未来のリスクを左右します。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール