不同意わいせつ事件における執行猶予の可能性と量刑判断のポイント

不同意わいせつ事件や児童ポルノに関連する犯罪において、執行猶予が付くか否かは、犯行の態様・件数・被害者の状況・示談の有無・反省の程度など、さまざまな要素を総合的に考慮して裁判所が判断します。この記事では、特にSNSを通じた未成年者へのわいせつ行為について、量刑の基準や執行猶予が与えられる条件、事例に基づいた考察を解説します。

不同意わいせつと児童買春・ポルノ関連罪の違い

「不同意わいせつ」は、相手の同意なくわいせつな行為を行うことに対して刑事罰が科されるもので、刑法176条に規定されています。さらに、相手が18歳未満であれば児童ポルノ禁止法違反などの罪にも該当し、複数の罪が併合される可能性もあります。

特に近年、SNSを介した未成年者への性的な画像・動画の要求や送信は、社会的にも厳しく非難されており、裁判所の判断も厳格な傾向にあります。

執行猶予の可能性に影響する要素

執行猶予が付くかどうかは、次のような情状が考慮されます。

  • 前科前歴の有無(初犯は比較的猶予がつきやすい)
  • 犯行の件数・期間・態様(件数が多い、組織的であれば重くなる)
  • 被害者との示談成立(示談が成立しているかどうか、誠意の有無)
  • 反省の態度(謝罪文提出や再発防止策の有無)
  • 家族などの監督支援体制(情状証人の存在)

したがって、複数件(たとえば6件)のわいせつ行為が立証されており、示談が一部にとどまっている場合は、たとえ初犯であっても執行猶予が付かない可能性が高くなります

量刑相場と判例の傾向

不同意わいせつ罪(児童の場合を含む)では、以下のような量刑相場が見られます。

  • 初犯かつ1件〜2件:執行猶予付き懲役1〜2年の判決もあり得る
  • 複数件(5件以上)かつ示談なし:実刑3年前後の判決が多い
  • 再犯または悪質性が高い場合:懲役5年以上の実刑判決

事例:同様のSNS型事件で、5件のわいせつ画像取得を行い、示談が1件のみだったケースでは、懲役2年6ヶ月の実刑判決が出されています(東京地裁令和3年)。

反省・更生努力が量刑に与える影響

反省の態度を具体的に示すことは、量刑判断において重要な情状です。以下のような行動が評価される可能性があります。

  • 精神科・心理カウンセリングの受診と継続
  • 専門医による診断書の提出(再犯リスクが低いとされる場合)
  • 母親や親族による監督体制の構築と証言
  • 被害者への謝罪文や、社会復帰支援の準備状況

ただし、これらの情状があっても、事件の件数が多く被害者が未成年である場合は実刑が下されることが多いため、執行猶予がつくかどうかは慎重な判断が求められます。

まとめ

不同意わいせつ罪における執行猶予の有無は、件数・被害状況・反省の態度・示談の成立状況など、多数の要素が絡みます。たとえ初犯でも、件数が多く、示談が成立していない場合は実刑判決が出される可能性が高いです。弁護士と連携し、誠実な反省と再発防止策の提示、被害者との和解努力を継続することが、最も重要な情状判断の材料となります。

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