保険金詐欺とは?どこからが違法になるのかを具体例で解説

交通事故やケガなどの後に支払われる保険金は、被害者の救済と生活再建のために存在します。しかし、その制度を悪用して「できるだけ多く保険金を得よう」とする行為が、時に違法=保険金詐欺となってしまうケースがあります。本記事では、どこからが保険金詐欺になるのか、実際のボーダーラインや違法性の判断基準について解説します。

保険金詐欺の定義とは

保険金詐欺とは、保険会社から不正に保険金をだまし取る行為を指し、刑法第246条の詐欺罪に該当します。例えば以下のような行為が含まれます。

  • 事故そのものを偽装する
  • ケガの程度を実際よりも重く見せかける
  • 通院日数を水増しする
  • 実際に治癒しているのに通院を続ける
  • 虚偽の診断書を取得する

こうした行為が発覚した場合、10年以下の懲役など重い刑罰が科される可能性があります。

「事故は本当・通院は長め」は違法になるのか?

実際に事故が起きてケガもしているものの、「もう大丈夫だけど保険金が欲しいから通院を続ける」といったケースはグレーゾーンですが、医師による診断や治療が不要になっているにもかかわらず通院を続けた場合は、詐欺行為と判断されるリスクがあります。

特に以下のような点が見られると、違法性を疑われる可能性が高くなります。

  • 医師が「通院不要」と診断した後も継続して保険請求
  • 同一内容の診療を短期間に複数回受ける
  • 通院頻度が実態に比べて過剰に多い

つまり、「事故が本当だからOK」ではなく、「請求の内容が真実かどうか」がポイントです。

実際に起きた保険金詐欺の事例

交通事故後に8カ月通院を続けた女性(2022年・埼玉)
通院初期の診断内容に反して長期通院し、医師も「治療は終了」としていたにもかかわらず保険金を請求し続け、保険会社から詐欺罪で刑事告訴され、罰金と損害賠償を命じられた。

整骨院と共謀して通院水増し(2019年・大阪)
患者と整骨院が共謀し、実際に通院していない日を含めて通院記録を提出。診療報酬と保険金を不正に得ていたとして、双方に詐欺罪が適用されました。

グレーゾーンにならないための心得

自身を守るためにも、以下の点を守ることが重要です。

  • 医師の指示に従って通院・治療を受ける
  • 治療が不要になった段階で保険請求を終了する
  • 虚偽の通院記録や診断書を使わない
  • 保険会社とのやりとりを記録し、透明性を保つ

保険金は本来の目的(治療費・慰謝料・損害補償)に沿って使うもので、「できるだけ多くもらう」こと自体が目的になってしまうと、詐欺のリスクが高まります

まとめ

保険金詐欺とは、虚偽の申告によって保険会社から不当にお金を得る行為であり、実際に事故が起きていたとしても、意図的に通院日数を水増ししたり、診療が不要になった後に継続請求を行った場合は詐欺と判断される可能性があります。

「事故は本当だし少しくらいなら…」という気持ちでも、保険会社は調査を行い、悪質と判断すれば刑事告訴に踏み切ることもあるため、慎重に行動することが必要です。

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