救急搬送された際に、医師から十分な診察もなく不用意な発言をされ、不安や精神的なショックを受けた経験は少なくありません。特に感染症や性病など、誤解を招きやすい診断が軽々しく話された場合、本人だけでなく家族関係にも影響を与えることがあります。本記事では、そうした場面においての適切な対応方法と医療機関へのクレームの伝え方について解説します。
なぜ不用意な診断や発言が問題になるのか
診察や検査の結果を待たずに病名を推測して発言することは、医学的に不適切であり、患者の名誉や心情を傷つける可能性があります。特に性感染症に関する話題は、周囲に誤解を招くリスクが高く、家庭内での信頼関係にも悪影響を及ぼすことがあります。
また、こうした発言がカルテに記録されていた場合、誤診歴として将来的な診療に影響する懸念もあります。そのため、不適切な発言があった場合は記録確認も含めて適切に対処することが大切です。
医療機関へのクレームの伝え方
クレームを伝える際は、冷静かつ具体的に以下の情報を整理して伝えることが重要です。
- 受診した日時と診療科
- 担当医の名前(不明な場合は見た目や対応内容の特徴)
- 具体的な発言内容とそれによる影響
- 第三者(家族など)の証言があること
まずは病院の「医事課」「患者相談窓口」や「苦情対応窓口」に電話し、「事実確認と説明を求めたい」と伝えるのが適切です。いきなり怒りをぶつけるのではなく、「事実としてこのようなことがあった」という形で記録を残す姿勢が重要です。
患者相談窓口の活用と第三者機関への相談
多くの病院には患者相談窓口(または医療安全管理室)が設けられており、医師とのトラブルに関する申し出を受け付けています。
それでも納得できる対応が得られない場合は、日本医師会の医療ADR(裁判外紛争解決手続)や都道府県の医療安全支援センターに相談するのも選択肢です。
名誉毀損や不当な診療に該当する可能性
不用意な発言が外部に漏れた結果、家族や周囲から不利益を被った場合には、民事上の名誉毀損やプライバシー侵害が成立する可能性もあります。特に、誤診に基づく発言が患者の生活に影響した場合、法的措置を取ることも検討されるべきです。
ただし、実際に訴訟や損害賠償請求を行う前に、弁護士に相談し、発言の証明や影響の程度を整理する必要があります。
事例紹介:不用意な発言から問題に発展したケース
ある女性が救急外来で性病の可能性を示唆されたことで、同居家族から差別的な対応を受けたという事例があります。後日、別病院で別の病気と診断され、家族関係の修復にも時間がかかりました。
このケースでは、患者が医療機関に書面での説明を求め、再発防止策の確認を取ったことで、病院側も公式に謝罪する流れになりました。記録を残すことで誤診がなかったかも再確認できたといいます。
まとめ:感情ではなく「記録」と「冷静な対応」で自分を守る
医療現場での誤診や不適切な発言は、誰にでも起こり得ますが、それによって精神的・社会的な被害を受けることはあってはなりません。
問題があったと感じたら、記録を取り、適切な窓口に冷静に申し出ることが大切です。感情的にならず、事実を元に丁寧に対応することで、医療機関側も誠意ある対応をしやすくなります。