警察車両が赤色灯を回して走っているとき、果たしてそれだけで法定速度を超えて走行することは許されるのでしょうか?特に白バイやパトカーがサイレンを鳴らさずに高速で移動する光景に疑問を感じる人も多いでしょう。本記事では、道路交通法の規定を元に、白バイ・パトカーの緊急走行と法定速度の関係について解説します。
緊急自動車の定義と条件
道路交通法第39条により、赤色回転灯を点灯し、サイレンを鳴らしている状態で、パトカーや白バイは「緊急自動車」として扱われます。このときに限り、法定速度や信号など一部の交通規則を免除されます。
つまり、原則として赤色灯だけではなくサイレンの使用が必要です。ただし、特定の任務中(例えば、捜査・張込みなど)では例外的にサイレンを鳴らさない運用もあります。
赤色灯のみの使用でも速度超過は違法?
法律上では、サイレンを鳴らしていない状態での速度超過は「緊急自動車」の扱いにならず、通常の車両と同様に交通違反となる可能性があります。ですが、実務的には警察官の職務内容や緊急性が考慮され、必ずしも処罰対象とされないケースもあります。
2020年代に入ってからは、ドライブレコーダーやSNS投稿の普及により警察車両の行動が監視されやすくなっており、法令順守への意識も高まっています。
実例:北海道の白バイ事故と判決の背景
北海道で発生した白バイの事故では、白バイがサイレンを使用せず、赤色灯のみを点灯したまま時速118kmで走行していたという点が注目されました。
この事故では、右折中のトラックと白バイが衝突し、白バイ隊員が死亡。検察は「違反車両に気づかれないためにサイレンを鳴らさなかった」と主張し、最終的にトラック側に有罪判決が下されました。
この事例からもわかるように、緊急車両の挙動が裁判においても正当化されるかどうかは、その時の状況や任務の内容によって変わるのです。
市民が知っておきたい「緊急自動車」のルール
市民が日常生活の中でできることとしては、以下のような知識を持っておくと役立ちます。
- 赤色灯とサイレンを両方使用していれば、緊急走行中の可能性が高い
- 赤色灯だけで高速走行していても、すぐに違法と断定するのは難しい
- 接近してきたら安全に道を譲るのが基本
法的な正当性の有無に関わらず、安全第一の行動を取ることが事故防止に繋がります。
まとめ
白バイやパトカーが赤色灯のみで法定速度を超える走行をする場合、その行為が正当化されるかどうかは状況に左右されます。法律上はサイレンも必要とされていますが、任務の特殊性や危険察知のため例外的に使用を控えることもあります。市民としては、緊急車両に対する理解と安全な対応を心がけましょう。