民事裁判の判決に基づく債権の時効は何年?調停・審判・抗告までの流れと時効の基本を解説

民事裁判で勝訴しても、相手方が支払わないまま時効を迎えることがあります。実は、判決や調停調書、審判に基づく債権にも「時効」があるのです。この記事では、民事裁判や調停の判決確定後に債権を回収できる期間(=時効)について、法律上の根拠や実例を交えてわかりやすく解説します。

確定判決に基づく債権の時効は原則10年

民法第174条の2によれば、「確定判決に基づく債権の消滅時効は10年」です。これは、通常の債権の5年とは異なり、裁判所のお墨付きがある強い債権として扱われるからです。

例えば、貸金返還請求訴訟で勝訴し、確定判決を得た場合、判決確定日から10年間は強制執行などの法的手段が可能です。逆に言えば、10年を経過すると時効となり、請求できなくなるリスクがあります。

調停調書・審判書・和解調書にも時効はある

確定判決だけでなく、民事調停・家事調停・審判・和解調書も「債務名義」として認められており、これらも10年の消滅時効が適用されます(民事執行法第22条)。

例えば、離婚調停で養育費の支払いが合意された場合、その調書に基づく支払義務も10年間有効です。また、遺産分割審判に基づく財産給付命令なども同様に10年が時効となります。

抗告や控訴中の時効はどうなる?

判決確定前に控訴や抗告を行った場合、確定日が先送りになります。時効の起算点は「確定日」からなので、争っている期間中は時効のカウントは始まりません。

例えば、第一審判決が出てすぐに控訴した場合、控訴審判決が確定した時点から時効(10年)が始まります。つまり、「時効は確定判決等が出てから10年」であって、それ以前の手続き段階ではカウントされません。

時効の中断と更新に注意

一度時効のカウントが始まっても、「時効の更新」が行われると再びゼロからカウントされます。更新の主な方法は以下のとおりです。

  • 強制執行の申立て
  • 債務者からの一部弁済
  • 支払猶予の申し出などの債務承認

例えば、相手が「待ってください、来月払います」と言えば債務承認とみなされ、10年の時効期間がリセットされます。

債務名義ごとの時効期間の比較表

債務名義の種類 時効期間
確定判決 10年
調停調書・審判書・和解調書 10年
契約書・請求書ベースの債権 原則5年

まとめ:債務名義がある場合でも油断せず管理を

判決や調停により得た債務名義があるといっても、「10年で時効」が原則です。その間に相手が支払わなければ、強制執行の準備や時効更新措置を講じることが重要です。

特に調停や審判による債権は見落としやすいため、確定日を記録し、カレンダー等で「10年以内に何らかのアクションを起こす」体制を整えておきましょう。

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