金銭の貸し借りは身近な存在でありながら、利息や遅延損害金に関する知識がないとトラブルの原因になりやすい分野です。特に高利率の設定や返済遅延があった場合、返済総額が大きく膨らむ可能性もあります。この記事では、具体例をもとに利息や遅延損害金の計算方法をわかりやすく解説します。
利息と遅延損害金の基本的な計算式
利息と遅延損害金は日割りで計算されるのが原則です。計算式は次の通りです。
- 利息:元本 × 年利率 ÷ 365 × 借入日数
- 遅延損害金:元本 × 遅延利率 ÷ 365 × 遅延日数
たとえば年利33%で80万円を100日借りた場合、利息は以下のようになります。
利息=800,000 × 0.33 ÷ 365 × 100 ≒ 72,329円
さらに25日遅延した場合の遅延損害金は、
遅延損害金=800,000 × 0.50 ÷ 365 × 25 ≒ 27,397円
最終的な返済額は合計でおよそ879,726円となります。
事例1:恋人から借りた80万円(年利33%、遅延年利50%、100日+25日遅延)
・利息:800,000 × 0.33 ÷ 365 × 100 ≒ 72,329円
・遅延損害金:800,000 × 0.50 ÷ 365 × 25 ≒ 27,397円
・総返済額:800,000 + 72,329 + 27,397 ≒ 899,726円
事例2:サラ金から同条件で借りた場合
計算は事例1と同様ですが、ポイントは法的上限金利です。
利息制限法により元本10〜100万円未満の場合は年利15%が上限です。年33%は超過しており無効になる可能性があります。
・よって実際は15%で再計算。
利息=800,000 × 0.15 ÷ 365 × 100 ≒ 32,877円
遅延損害金(同様に制限あり)=800,000 × 0.20 ÷ 365 × 25 ≒ 10,959円
・総返済額:800,000 + 32,877 + 10,959 ≒ 843,836円
なお、超過分は無効とされ、消費者金融が行政処分の対象となる場合もあります。
事例3:恋人から120万円(年利25%、遅延年利30%、1年+10日遅延)
・利息=1,200,000 × 0.25 × 1年 ≒ 300,000円
・遅延損害金=1,200,000 × 0.30 ÷ 365 × 10 ≒ 9,863円
・総返済額:1,200,000 + 300,000 + 9,863 ≒ 1,509,863円
このように、元本が大きくなるほどわずかな日数の遅延でも金額に大きな差が出ます。
法律上の金利制限と注意点
利息制限法では、元本額に応じて上限利率が設定されています。
- 10万円未満:年20%
- 10万〜100万円未満:年18%
- 100万円以上:年15%
また、遅延損害金の上限は通常利率の1.46倍程度とされています。これを超える契約は無効で、貸し手が違法となる可能性もあります。
民間トラブルは証拠と話し合いが重要
恋人や友人などの私的な金銭貸借では、トラブル回避のために書面で契約内容を残しておくことが大切です。万一の遅延時に備えて、弁護士や司法書士に相談して契約書を整備することをおすすめします。
また、請求額に納得できない場合は、法テラスなどの無料相談機関の活用も視野に入れましょう。
まとめ:数字だけでなく法的な視点も欠かさずに
金銭貸借では、単純な計算にとどまらず、法的な上限や契約の適法性が大きく関わってきます。高金利や遅延に関する契約は思わぬトラブルを招くため、借りる側も貸す側も、契約時点から慎重に取り組むことが求められます。