契約不適合責任とは?リフォーム工事の施工不良・破損時に支払いを拒否できるのかを徹底解説

リフォーム工事において施工不良や破損が見つかった際、支払いを止めても良いのか、損害賠償は請求できるのか、裁判になった場合どう対応すべきか――こうした疑問は実際のトラブルで悩む方にとって切実な問題です。本記事では民法の契約不適合責任を中心に、発注者の権利と対応の基本について詳しく解説します。

契約不適合責任とは?―施工不良・瑕疵がある場合の根拠

契約不適合責任は、民法第562条以下で規定されており、「契約の内容に適合しない仕事をした場合、請負人は補修義務や損害賠償義務を負う」とされています。

つまり、仕上がりに瑕疵(不具合)があり、契約通りの性能や品質を満たしていない場合、発注者は支払いを一時停止し、補修または損害賠償を請求することができます。

支払い拒否は認められるのか?

原則として、工事の完成後には報酬を支払う義務があります(民法第632条)。しかし、施工に瑕疵があり、しかもその補修や説明が十分でない場合、支払いの全部または一部を差し控える権利が生じます(同時履行の抗弁権など)。

たとえば、明らかに不具合のある箇所が未修理であり、その修復にかかる費用の見積りがあり、かつ相手方の対応が誠意を欠くものであれば、未払いを正当化する余地があります。

写真・証拠・見積書の重要性

支払い拒否や損害賠償請求を主張するには、証拠が極めて重要です。以下のような資料をそろえることが有効です。

  • ビフォー・アフターの写真
  • 第三者業者による修理見積書
  • 業者とのやり取り履歴(メール・LINE・電話録音)
  • 完工書や契約書、約款

たとえば、コーキングの不具合、サイディングの不自然な施工、タイル破損といった点を写真付きで説明できれば、裁判所でも主張が通りやすくなります。

支払済み差額と裁判対応について

一部でも支払い済みであれば、誠意ある対応の証として評価されることもあります。ただし、裁判では「支払い義務があったか」「減額や損害賠償が認められるか」が争点になります。

そのため、相手方が訴訟を提起した場合は、請負代金債務を一旦認めつつ、反訴または反論として契約不適合による減額請求や損害賠償請求を行う形になります。これを「抗弁」または「反訴」といいます。

弁護士を立てるべきか?

相手が「裁判所から書面を送る」としている場合、すでに少額訴訟や通常訴訟を提起した可能性があります。内容証明や訴状が届いたら、必ず期限内に答弁書を提出し、必要なら弁護士に相談することが重要です。

特に、持病や精神的負担がある場合、代理人として弁護士に一任することで精神的・法的に有利な対応が可能となります。

まとめ:支払い義務と責任追及は同時に扱える

施工不良や破損があり、十分な補修がなされない場合でも、支払いを完全に拒否することはリスクを伴います。しかし、証拠をもとに契約不適合責任を主張し、減額や損害賠償を請求することで正当な解決が可能です。

裁判になる前に記録と証拠を整理し、早期の専門家相談を検討することをおすすめします。

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