医療機関を受診した際に、患者が医師からの不適切な対応により精神的ダメージを受けたと感じた場合、どのような手段を講じればよいのでしょうか。医療倫理や法律、行政手続きなどをふまえ、この記事では医道審議会への通報や処分の可能性について詳しく解説します。
医道審議会とは何か？
医道審議会（いどうしんぎかい）は、厚生労働省の下に設置されている審議機関で、医師・歯科医師が医師法・歯科医師法に違反する行為をした場合に、その処分の可否を審議する役割を持っています。業務上の過失や非倫理的行動などが対象です。
この審議会は医師免許の取り消しや停止などの処分を行うための重要な手続きの一部であり、国民が医療機関に対して声を上げる手段として活用されています。
通報の対象になる行為とは？
通報対象となるのは、業務上の過失（誤診や過剰診療）、非倫理的対応（暴言、威圧、セクハラ）、刑事事件に該当する行為（暴行、詐欺など）です。
精神的な被害を伴う暴言や威圧的な言動も、医師の品位に欠ける行為と判断されれば通報理由になります。ただし、その後の処分に関しては証拠の有無が重要となるため、録音や診療記録、証人の存在がカギとなります。
証拠がない場合の通報は無意味か？
証拠がない場合でも、通報すること自体は可能です。厚生労働省や地方厚生局への相談フォームや郵送による通報がありますが、証拠がない場合、事実認定が難しくなるため処分に至らない可能性が高くなります。
ただし、複数の患者から同様の通報が寄せられている場合、調査対象として取り上げられることもあります。そのため、記憶が新しいうちに経緯をメモし、医療機関の相談窓口や第三者機関にも相談するのが望ましいです。
精神障害の発症と医師の責任
もし医師の暴言などが原因で精神疾患（例：適応障害、うつ病など）を発症したと医師に診断された場合、医療事故相談窓口や、医療紛争解決支援センター（ADR）などを通じて相談することもできます。
また、損害賠償を目的とする場合は民事訴訟の対象となり、法的な責任を問う形になります。いずれも医師の行動が原因であったという医学的証明や診断書が重要です。
適切な相談先と支援制度
通報を検討する前に、これらの機関での相談や助言を受けることで、自身の精神的・法的負担を軽減することができます。
まとめ
医療機関での不適切な対応により精神的被害を受けた場合、医道審議会への通報は正当な手段です。ただし、証拠がない場合の処分は難しくなることが多いため、記録や診断書などの客観的な情報の確保が重要です。まずは公的機関や専門家への相談から始め、適切な対応を検討していくことをおすすめします。