離婚後の慰謝料や養育費の支払いが家計を圧迫しているというケースは少なくありません。特に収入に対して支出が重くのしかかる場合、慰謝料の減額が可能かどうかを知ることは、生活再建の第一歩になります。
離婚後の慰謝料支払いとその法的位置付け
慰謝料とは、不貞行為などによって相手に精神的苦痛を与えたことに対する損害賠償です。合意によって金額が決められるケースが多く、書面による契約やLINEなどの口頭同意でも支払い義務が発生する場合があります。
合意書がない場合でも、過去のやりとりや支払い実績から「黙示の合意」として認定されることもあります。そのため、支払いに困っているからといって一方的な停止や減額はリスクが高いです。
慰謝料の減額はできるのか?
原則として、一度合意した慰謝料の金額は変更できません。しかし、生活が著しく困窮している場合には「履行不能」や「事情変更の原則」に基づいて、減額や支払い方法の見直しが認められるケースもあります。
たとえば、支払い継続が生活保護水準を下回るような状況であれば、裁判所が見直しを命じる可能性があります。
実例:支払い条件の変更が認められたケース
過去には、借金の返済や病気などで収入が減少したことで慰謝料の分割払いを延長した事例があります。例えば、5年の支払い契約を10年に延長することで月額負担を軽減したケースです。
また、養育費との総額が年収の30%を超えていた場合、双方の協議により減額合意が成立した事例もあります。
対応策:どう進めるべきか
減額を希望する場合は、まずは元配偶者と協議を行いましょう。その際は感情的にならず、現状の家計状況(給与明細、支出内訳など)を提示することが重要です。
協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に「慰謝料支払い条件変更調停」を申し立てることができます。調停を通して中立的に話し合いを進められるため、解決への近道になる場合もあります。
その他の負担とのバランスを考慮
養育費、借金、慰謝料と3重の支払いが続く中で、どこに優先順位を置くかの判断も大切です。養育費は子どもの権利とされるため、裁判所も優先的に支払いを求める傾向があります。逆に、慰謝料は減額や延長の余地が比較的あるといえるでしょう。
まとめ
慰謝料の支払いは、法的義務ではありますが生活が破綻するような状態に陥った場合には、見直しの余地があります。まずは冷静に家計を整理し、元配偶者との話し合いを試みましょう。それが難しい場合は、家庭裁判所での調停を検討することが現実的な一歩です。