生活保護を受けている中で慰謝料請求を受けた場合、「払えないのにどうすれば」と不安に思うのは当然のことです。この記事では、法律や制度の仕組みに基づいて、慰謝料を支払う能力がない場合の対応方法や支援制度についてわかりやすく解説します。
生活保護と慰謝料の支払い義務について
生活保護受給者であっても、慰謝料の支払い義務が完全に免除されるわけではありません。法律上は、慰謝料請求が認められた場合、支払い義務が発生します。しかし、支払い能力がない場合、すぐに強制的に取り立てられることはほとんどありません。
生活保護費は差し押さえ禁止財産とされているため、仮に裁判で支払い命令が出ても、保護費から直接支払わせることはできません(生活保護法第58条、民事執行法第131条)。
裁判で支払い命令が出るとどうなるか?
もし相手が裁判を起こし、慰謝料支払いの判決が出たとしても、生活保護のみで生活している場合は「支払能力なし」と見なされ、実質的に支払いを免れる可能性があります。
例えば、月収がなく、貯金や不動産などの資産も持っていない場合、相手側が強制執行を試みても現実的には回収不能となるケースが大半です。
話し合いが難航する場合の対処法
支払いが困難なことを誠実に伝えても、相手が納得しないケースもあります。こうした場合、市区町村の無料法律相談や法テラスなど、公的な法的支援を利用しましょう。
また、ケースワーカー(CW)と相談のうえ、弁護士に間に入ってもらうと、相手も冷静に話し合いに応じやすくなることがあります。
第三者機関に相談する方法
以下の支援機関では、生活保護受給者の法的トラブルや金銭トラブルについての相談を受け付けています。
- 法テラス(日本司法支援センター):無料の法律相談・弁護士費用の立替制度あり
- 各自治体の福祉課:ケースワーカーを通じて行政内の法律相談窓口を案内してくれる
- 地域の社会福祉協議会:生活困窮者向けの相談支援を行っていることもあります
こうした機関に相談することで、精神的な負担も軽減され、今後の対応策も見えてきます。
生活保護中にできる支払い方法や和解案
どうしても相手との和解が必要な場合、「支払能力が回復したら一部支払う」などの和解案を弁護士を通じて提示することも可能です。
ただし、生活保護を脱却して収入を得た場合でも、一定額以上の支払いは生活に支障が出るため、慎重に取り決める必要があります。
まとめ:支払えない場合も法律的保護を受けられる
生活保護を受けている方が慰謝料請求された場合、無理に支払う必要はなく、法的に守られる仕組みがあります。焦らず、ケースワーカーや法テラスなどの専門機関に相談し、正しい対応を取ることが大切です。相手との話し合いが難航しても、一人で抱え込まず、信頼できる第三者に介入してもらうことで道が開けるでしょう。