写真素材サイト「写真AC」では、クリエイターが撮影・制作した写真やイラストを投稿し、利用者に提供することができます。しかし、投稿時に発生する著作権の譲渡やその範囲について、特に元画像に加工を加えたケースで混乱することもあります。この記事では、写真ACの規約をふまえたうえで、加工画像と元画像の著作権の考え方についてわかりやすく解説します。
写真ACの著作権規約の基本
写真ACでは、投稿された素材に関して、著作権は基本的にACワークス(運営会社)に譲渡される仕組みとなっています。ただし、これは投稿された素材そのものに限定されており、それ以前に存在する元データ(加工前の写真)まで遡って譲渡されるわけではありません。
つまり、加工した画像を投稿すれば、その加工済み画像の著作権が譲渡対象となりますが、元データに関しては著作権が投稿者に残るという理解が一般的です。
加工の程度と「別作品」としての扱い
問題は、加工の程度によって「別作品」と認められるかどうかです。例えば、ナンバープレートやロゴの一部をぼかす、文字を削除する程度の「軽微な加工」では、元画像と本質的に同一と見なされる可能性が高く、加工後の画像の著作権譲渡が、実質的に元画像の権利まで影響を及ぼすという懸念もあります。
一方、構図の変更やレタッチの重ねがけ、グラフィック素材の合成など、より創造的な加工が行われた場合は「新たな著作物」として明確に区別されるケースもあります。
加工済み画像を投稿する際の注意点
加工画像を投稿する際には、以下のような点に注意することが大切です。
- 加工の履歴や元画像を自分で管理しておく
- 軽微な加工であっても、元画像がどれかを明確にしておく
- 写真ACに投稿する目的に合わせて、加工の内容や程度を調整する
例えば、将来的に元画像を別サービスに使いたい場合、写真ACには別バージョンを投稿するなど、使い分けも検討しましょう。
著作権譲渡に抵抗があるなら他の選択肢も
著作権の譲渡に不安を感じる場合は、著作権を保持したままライセンス提供できる他のストックフォトサービスを活用するのも一つの手です。たとえば、PIXTAやAdobe Stockでは、利用ライセンスの範囲は明示されますが、著作権はクリエイターに留まる形式が採られています。
それぞれのサービスの仕組みや取り決めを確認し、自分に合った方法で作品を発信していくことが重要です。
まとめ:写真AC投稿時の著作権管理は計画的に
写真ACへの投稿では、アップロードした画像の著作権が譲渡されますが、元画像が自動的に含まれるわけではありません。ただし、軽微な加工では「実質的に同じ」と見なされる可能性もあるため、加工の程度と意図を明確にすることが求められます。
自身の著作物をどう管理し、どのように発信したいのかを考えながら、写真ACや他のプラットフォームを活用しましょう。著作権はクリエイターにとって大切な資産であり、賢い運用が長期的な信頼と利益に繋がります。