弁護士と国際法の知識:ジュネーブ条約や国連憲章に詳しくないのは普通?

法律の専門家と聞くと「すべての法律に詳しい」というイメージを持たれがちですが、実際には分野ごとに専門性が大きく異なります。今回は「ジュネーブ条約」や「国連憲章」といった国際法に関する知識と弁護士の関係について、わかりやすく解説します。

弁護士にも専門分野がある

日本の弁護士は、企業法務、刑事弁護、家族法、労働法、知的財産法など、さまざまな分野に分かれて活動しています。国際法はその中の一部にすぎず、すべての弁護士が詳しいわけではありません。

たとえば、離婚調停を中心に扱う弁護士が国際法を学ぶ機会は少なく、ジュネーブ条約や国連憲章に接することもあまりありません。それは医師にも内科や外科、精神科といった専門があるのと同じことです。

ジュネーブ条約・国連憲章とは何か

ジュネーブ条約は、戦時下における民間人や捕虜の保護など、人道的な取り決めを定めた国際条約です。一方、国連憲章は国際連合の設立と運営に関する基本文書で、戦争の回避や国際協力の原則を定めています。

これらは国際法の中でも国際人道法・国際公法と呼ばれる分野に属し、通常は外交官や国際法学者、国際機関で働く法曹関係者が精通している分野です。

国際法に詳しい弁護士とは

もちろん、日本にも国際法に強い弁護士はいます。特に国際紛争解決や国際取引、外国企業との契約などを扱う弁護士は、ジュネーブ条約や国連憲章だけでなく、WTO協定や各種条約に精通しています。

例えば、国際仲裁や国際刑事裁判所(ICC)の手続きに関わる弁護士は、国際法を日常的に使いこなします。こうした弁護士は東京や大阪の大手法律事務所や、外資系企業に多く見られます。

一般的な弁護士の業務と国際法の関係

日常的に法律相談を行う一般の弁護士にとって、国際法の知識が必要になる場面は多くありません。たとえば遺産相続や労働トラブル、交通事故の示談などで、ジュネーブ条約や国連憲章が関係することはまずありません。

そのため、仮にある弁護士がそれらに詳しくなかったとしても、それは専門外であるというだけで「ありえない」と言うことにはなりません。

実例:ある弁護士との会話から

筆者が過去に相談したある弁護士は、国内の刑事事件専門でした。話の中で国際法の話題が出ると「その分野は詳しくないので専門の先生を紹介します」と明言されていました。これは専門性に対する誠実な姿勢とも言えます。

逆に、すべてに答えようとする弁護士の方が信頼性に疑問を持たれることもあります。

まとめ:専門外の知識を持たないことは当然

弁護士がジュネーブ条約や国連憲章に詳しくないことは決しておかしいことではなく、むしろ専門外であれば知らないのが自然です。大切なのは、自分の専門外の分野では正直に対応し、必要があれば適切な専門家に繋ぐ姿勢です。

専門性に応じた対応ができる弁護士こそ、信頼に足る法律の専門家といえるでしょう。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール