著作権と肖像権の違いと死後の権利保護期間をわかりやすく解説

著作権や肖像権といった権利は、日常生活でもニュースやネットで耳にする機会が多い言葉ですが、具体的に「死後にどうなるのか?」についてはあまり知られていません。この記事では、著作権と肖像権の違い、そして死後の取り扱いについてわかりやすく解説します。

著作権の保護期間は「原則死後70年」

日本では、著作権法により著作権の保護期間が明確に定められています。2018年のTPP協定等に伴い、著作権の保護期間は著作者の死後70年(それ以前は50年)に延長されました。

つまり、著作者が亡くなってから70年間は、遺族などの著作権継承者に権利があり、その作品の利用には許可が必要となります。例外として、法人著作物や映画などは別の規定もあります。

肖像権とは?法律に明文化されていない“人格権”

肖像権は、自分の顔や姿が無断で撮影・公開されない権利です。これは法律に明文化された権利ではなく、判例や慣習をもとに保護されている人格権です。

たとえば、知らないうちに自分の写真がSNSに投稿されたり、広告に使われた場合、それが肖像権侵害に該当するケースがあります。公共の場で撮影された場合でも、撮影目的や公開方法によって違法と判断されることがあります。

肖像権は死後にも続くのか?

肖像権はあくまで生きている人の人格を守る権利とされているため、法的には「死後には肖像権は消滅する」とされるのが通説です。

ただし、著名人などの場合には、遺族の名誉権やパブリシティ権(商用利用に関する権利)などが問題となることがあります。近年では、亡くなった有名人の写真や映像の使用に関して、遺族や関係団体が訴訟を起こすケースもあり、事実上の保護が継続する場合があります。

パブリシティ権との関係性

肖像権とは別に、芸能人やスポーツ選手などの“有名人”がもつ権利に「パブリシティ権」があります。これは、名前や写真を商品や広告に使用されることによって生じる経済的価値を保護する権利です。

パブリシティ権は日本では法制化されていませんが、判例で保護されており、故人であっても遺族や管理会社などが利用を管理しているケースがあります。

具体例:著作権・肖像権が問題になる場面

例えば、ある音楽家が亡くなったあと、その作品を演奏会で使いたい場合、死後70年以内であれば著作権者に使用許可を取る必要があります。

また、有名人が亡くなった後にその写真を広告で使用したい場合は、遺族や事務所に使用許可が求められることがあり、たとえ肖像権が消滅していても訴訟リスクを考慮する必要があります。

まとめ:著作権は70年、肖像権は原則死後消滅

著作権は著作者の死後70年間保護され、遺族などの管理が必要です。一方で肖像権は基本的には死後消滅するものの、遺族の名誉権やパブリシティ権など、間接的な保護が行われることもあります。

亡くなった人の写真や作品を使用する場合は、著作権の年数や関係者の意向を調査し、慎重に扱うことが重要です。

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