「実質無料」「キャッシュバックあり」という言葉にひかれて契約をしたものの、後から金額にズレがあると感じた経験はありませんか?今回の記事では、よくある通信サービス契約のトラブルと、それが法律上どのように判断される可能性があるのかをわかりやすく解説します。
通信サービスでの「実質無料」契約とは
通信サービスやサポート契約で、「実質無料」と謳う営業トークは珍しくありません。これは、毎月の料金や初期費用が後からキャッシュバックという形で返金され、結果的に負担がないとされる契約内容です。
しかし、実際の支払いとキャッシュバック額に差がある、税抜と税込の説明がなかったなどのトラブルが多発しています。
「税抜き表記」未説明のまま契約した場合の問題点
税込金額が契約者の実際の負担額であるにもかかわらず、業者側が税抜価格をキャッシュバックの基準とする場合、説明義務違反となる可能性があります。
特に、複数回確認を取った上で「全額返金」といった表現をされたにもかかわらず、消費税分が差し引かれていたとすれば、誤認を誘う表示とみなされる可能性もあり、特定商取引法や景品表示法違反の可能性も否定できません。
「詐欺」になるかどうかの判断基準
法律上の「詐欺」となるためには、故意に虚偽の事実を伝え、相手を錯誤に陥れて財物を交付させたことが必要です。
今回のようなキャッシュバック条件の不明確さは、詐欺罪(刑法246条)に該当するほど重大とは判断されにくい場合もありますが、民法上の「錯誤」や「詐欺による契約取消」の対象になり得ます。消費者庁の表示に関するガイドラインでも、誤解を招く表現には厳しい目が向けられています。
具体的な相談・対応方法
納得がいかない場合は、次のような機関への相談をおすすめします。
- 国民生活センター(消費生活相談)
- 消費生活センター(市区町村に設置)
- 契約書や録音データを元に弁護士へ相談(法テラスも利用可能)
録音やメモが残っている場合、それが証拠となって交渉や訴訟で有利になる可能性もあります。
よくあるキャッシュバックトラブル事例
例1:回線契約時に「全額キャッシュバック」と言われたが、返金は月額基本料の一部のみだった。
例2:口頭説明では「無料」と言われたが、契約書には「割引適用後料金」と小さく記載があった。
例3:税込価格との差額が出ることを説明せずに勧誘され、後から「自己負担が発生」と言われた。
トラブル回避のためにできること
営業電話などで契約する際は、以下を必ず確認しましょう。
- キャッシュバック金額は税込か税抜か
- 契約書や重要事項説明書に金額の明記があるか
- 契約内容を録音・記録しておく
また、納得できない場合は即決せず、「書面を送ってもらってから確認します」と伝えることがトラブル回避の第一歩です。
まとめ:わずかな差額でも放置せず声をあげよう
たとえ数百円の差でも、「実質無料」と言われた内容と異なる場合は、明確な根拠をもって問い合わせることが重要です。消費者保護の視点からも、小さな不満を放置せず、正当な説明を求める行動がトラブルの抑止につながります。
「よくあること」と流さず、一度消費者相談窓口へ相談してみることをおすすめします。