現代の裁判では、スマートフォンやSNSなどから取得した画像が証拠として提出されることも珍しくありません。しかし、もしその画像が捏造されたものであった場合、どのような法的影響があるのでしょうか？この記事では、偽の証拠を使って裁判に勝訴した場合に起こり得る結果とリスクについて解説します。
偽の証拠で裁判に勝訴した場合の影響
もしも偽造された画像などの証拠をもとに裁判で勝訴したことが後に発覚した場合、その判決は無効または再審請求の対象となる可能性があります。特に民事事件では、再審事由として「重大な偽計」が認められれば、裁判のやり直しが可能です。
刑事事件の場合、無罪が偽証や偽証拠によって得られた場合には、検察側が再度起訴を行うこともあり得ます。ただし、二重の危険（ダブル・ジョパディ）を避けるため、再審には慎重な法的判断が求められます。
偽造画像の法的評価とは？
偽造画像を証拠として提出する行為は、刑法上の「偽証罪」や「虚偽告訴罪」、さらには「文書偽造罪」に該当する可能性があります。例えば、実在しない場面を捏造して被告の行為を裏付けた場合、それによって損害を与えた側が刑事責任を問われることになります。
裁判所は提出された証拠が信頼できるものかを精査しますが、映像編集技術の進化により、画像の真偽判定は年々難しくなっています。
偽の証拠が発覚した実例とその結果
過去の例では、交通事故をめぐる損害賠償訴訟において、ナンバープレートの画像が加工されていたことが裁判後に判明し、再審が認められたケースがあります。民事では再審によって逆転判決が出ることもあります。
刑事では、アリバイ工作として偽の防犯カメラ映像が使われた事件で、証拠偽造と偽証により関係者が刑事処罰を受けた事案もあります。
もし相手に偽の証拠を使われた場合の対応
自分に不利な判決が偽の証拠によるものであったと疑われる場合は、証拠の精査を専門家に依頼し、新証拠として再審請求を検討することが重要です。画像や映像のメタデータや編集痕などを検出するフォレンジック技術も有効です。
また、誤って偽証や偽の証拠を信じてしまった場合でも、正当な手続きをもって真実を明らかにすることで、名誉の回復が可能になります。
偽の証拠を使った側の責任とペナルティ
裁判で偽の証拠を使用したことが明らかになった場合、その人物には重い責任が問われます。たとえば。
- 偽証罪（3か月以上10年以下の懲役）
- 虚偽告訴罪（5年以下の懲役）
- 私文書偽造罪または公文書偽造罪
- 民事上の損害賠償責任
「勝てばいい」という考えで偽の証拠を使うことは、長期的には信用の失墜と法的リスクを招く行為です。
まとめ：裁判での証拠は真実性と誠実性が命
裁判における証拠は、公正な判断の根拠となるべきものです。たとえ勝訴しても、偽の証拠によるものであれば、判決そのものが無効となり、刑事責任や再審による逆転判決など、重大なリスクが待ち受けています。
裁判は「真実の発見」を目的とする制度です。不正な手段ではなく、正当な方法で正義を追求する姿勢が、社会的信頼を守る第一歩となるでしょう。