交通事故において、加害・被害の立場に関係なく「診断書の提出」は今後の手続きに大きな影響を与えます。とくに自転車と車の事故のように、お互いに過失がある50対50のケースでは、被害届や人身事故扱いになるかどうかが変わる可能性があります。本記事では、診断書を警察に提出するかどうかで何が変わるのか、どんな場面で提出すべきかなど、実例を交えて解説します。
診断書を提出する目的とは?
交通事故で受傷した際、医療機関から発行される診断書は「人身事故」として警察に届け出るための根拠資料になります。提出により、「物損事故」ではなく「人身事故」扱いに切り替わることが主な目的です。
人身事故として扱われると、加害者には刑事責任(違反点数や罰金など)が課され、保険会社の対応も変わってきます。
提出しない場合に起きること
診断書を提出しないと、基本的に事故は「物損事故」として処理されます。この場合、
- 警察に人身事故として記録が残らない
- 加害者に行政処分が科されない
- 自賠責保険の一部請求に影響が出る場合がある
といった影響があります。
とくに治療費・慰謝料の請求には「人身事故の届け出」があった方がスムーズなケースが多いため、注意が必要です。
実例:50対50の事故で診断書を提出したケース
たとえば、自転車と車の接触事故でお互いに過失があると判断されたある事例では、自転車側が打撲・擦り傷を負い診断書を提出。結果として人身事故に切り替わり、加害者(車側)に行政処分が科され、慰謝料請求の手続きが可能になりました。
一方、同様の事故で診断書を提出しなかった別の事例では、人身事故扱いされず、通院治療費の一部を自己負担することになりました。
診断書の有効期限と提出時期
事故発生日から時間が経ってから診断書を提出する場合、「事故との因果関係」が薄れると判断され、人身事故扱いを断られるケースがあります。原則として7日以内の提出が望ましいとされており、遅くとも2週間以内に対応するのが理想です。
また、提出する際はコピーを取っておくことや、提出先の警察署名・担当者名をメモすることも大切です。
保険金請求や慰謝料請求に与える影響
診断書の提出によって人身事故と認定されれば、自賠責保険から最大120万円までの補償が受けられる可能性があり、通院交通費・休業損害・慰謝料なども請求しやすくなります。
逆に診断書未提出の場合、これらの請求に対し「事故と関係がない」として保険会社が支払いを拒否するケースもあるため注意が必要です。
まとめ:診断書提出は「人身事故」としての重要な判断材料
事故の過失割合が50対50であっても、診断書を提出することで事故の性質や保険の取り扱いが大きく変わる可能性があります。被害者・加害者どちらの立場であっても、早期に医療機関を受診し、必要に応じて診断書を提出することは非常に重要です。
後悔のない事故対応のためにも、判断に迷ったら交通事故に詳しい弁護士や保険代理店に相談してみましょう。