交通事故において加害者が「保険を使わず自己負担で支払う」と約束したものの、実際には支払いがなく、連絡も取れないというケースは少なくありません。被害者としては金額に関わらず泣き寝入りしたくないものです。この記事では、そうした加害者に誠意が見られない場合に取り得る法的・実務的な手段を解説します。
保険を使わない約束には注意が必要
事故後に「保険を使わずに自腹で支払います」と言われることがありますが、この約束にはリスクがあります。言葉だけの約束に法的拘束力は乏しく、口約束では支払いを回避されるリスクが高いからです。
特に、損害額が少額(たとえば3万円前後)であっても、時間と労力を無駄にしないためにも、最初から保険を使うのが安全な方法です。
連絡がつかない相手への対応策
連絡がつかない、電話やSMSに返答がないという状況は、民事上の債務不履行に該当します。こうした場合は以下の手順で対処しましょう。
- 内容証明郵便で支払い請求を行う
- 相手の住所・氏名がわかっている場合は、簡易裁判所に少額訴訟を起こす
- 警察に詐欺的な行為として相談(事故証明があると有効)
特に内容証明郵便は「正式な請求の証拠」として機能し、法的手続きの前段階としても有効です。
少額訴訟を活用する方法
被害額が60万円以下の場合、簡易裁判所で少額訴訟を起こすことが可能です。訴状を提出し、1回の審理で判決が下るのが一般的です。費用も安価(数千円〜)で、法律の専門知識がなくても利用できます。
例:修理費29,800円に対し、簡易裁判所で訴えたケースでは、請求から1ヶ月以内に判決が下り、給与差押えにより全額回収に成功したという事例もあります。
証拠をしっかり残しておくことが重要
約束を反故にされた際に必要となるのが証拠です。
- 事故時の実況見分調書
- 修理見積書・領収書
- 相手とのLINE・SMS・通話履歴
- 支払いを約束した日時・内容
特にLINEやSMSの画面はスクリーンショットで保存しておきましょう。これらの記録が訴訟時の証拠として非常に有効です。
加害者に制裁を求めたい場合の選択肢
「支払いを逃れようとしている」「保険を使わないことを逆手にとっている」と感じた場合は、民事だけでなく刑事的な視点からのアプローチも考えられます。
たとえば、警察署の交通課に再相談し、「事故後の対応が誠実でなく悪質」として相談を行うことで、刑事上の過失処理が再度見直される可能性もあります。ただし、これは加害者の態度や被害内容によります。
実例:連絡無視の加害者に対する成功事例
原付との接触事故で相手から「支払う」と言われたものの、何度も約束を破られた事例では、被害者が少額訴訟を起こしたことで判決が得られ、強制執行を通じて口座からの回収に成功しました。
また別のケースでは、相手の勤務先が判明していたため、給与の差押え命令が裁判所から発令され、弁済が実現しました。
まとめ:泣き寝入りせず正当な手段で取り戻す
事故後の対応で加害者が誠実に支払わない場合、被害者が行動しなければ何も解決しません。内容証明・少額訴訟・証拠の確保といった手段を駆使し、泣き寝入りせず正当な賠償を受けることが大切です。金額が少額であっても、法的な手続きを取ることで相手に責任を取らせることが可能です。早めの対応が、最終的な回収成功への鍵になります。