近年、学生を対象とした後払い（つけ払い）サービスが増えており、一時的な金欠や急な出費に利用されるケースが多く見られます。しかし、これらの支払いを滞納した場合、奨学金の申請や継続に影響する可能性があるのか不安に思う人も少なくありません。この記事では、つけ払いの滞納と奨学金の関係について、制度的観点から詳しく解説します。
つけ払いとは何か？その仕組みと注意点
「つけ払い」とは、コンビニ後払いサービスなどを通じて商品やサービスの代金を後日支払う仕組みのことです。Paidyや後払い.comなどが代表的な事業者で、学生でも簡単に利用できる手軽さがあります。
しかし、期日までに支払いがないと延滞料が発生したり、場合によっては信用情報機関に記録されることもあります。これは後述する奨学金制度にも関係してきます。
奨学金審査で重視されるポイント
日本学生支援機構（JASSO）などが提供する奨学金制度において、申請時には以下のような項目が確認されます。
- 学業成績
- 家計状況
- 人物評価
- 収入や負債に関する情報（主に保護者）
原則として、申請者本人の信用情報までは調査対象になりません。ただし、学生本人が収入を得ていたり、自らローン契約などをしている場合には例外的にチェックが入ることがあります。
信用情報への登録と奨学金の関係性
信用情報とは、クレジットカードやローンなどの利用履歴や返済状況などを記録したデータです。支払いの延滞があると「異動情報」として登録され、これが信用審査に影響する場合があります。
JASSOの奨学金では、信用情報機関の情報を直接確認することはありませんが、スカラネットの入力情報や住民票情報と突き合わせる形で間接的に確認される可能性は否定できません。
つけ払いの滞納が与える可能性のある影響
つけ払いの滞納が奨学金の審査に即座に影響することは少ないですが、以下のような副次的な影響が考えられます。
- 信用情報の悪化により、連帯保証人が必要な奨学金で保証人が立てられなくなる
- 学生自身の名義で携帯やクレカの契約ができなくなる
- 学校側の推薦が得にくくなる
特に大学が成績と生活態度を加味して選考を行うタイプの奨学金では、金銭トラブルが悪印象になる場合もあります。
実際のトラブル事例とその教訓
ある大学生が、つけ払いで1万円の商品を購入し、支払いを忘れていたことで簡易裁判所からの督促状が届いたケースがあります。この学生は、その後クレジットカードの審査に落ち、奨学金の保証人を立てる際にも苦労しました。
このように、小さなミスが将来の進学資金や生活設計に影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。
対策と健全な利用のすすめ
後払いサービスを利用する際は、必ず返済計画を立てることが重要です。また、以下のポイントも意識しましょう。
- 利用上限を自分で設定する
- リマインダー機能やカレンダーアプリで期日管理する
- 収入のない学生は利用を控える
すでに滞納がある場合は、業者に相談の上、誠意をもって返済することで信用情報への悪影響を最小限に抑えることができます。
まとめ：奨学金と信用情報は“無関係ではない”
つけ払いの滞納が直接的に奨学金の不支給に繋がる可能性は低いですが、間接的な影響は無視できません。信用情報は、将来の経済的自立や進学計画に関わる重要なファクターです。
安易に後払いを利用するのではなく、計画的な金銭管理と自分の信用を守る意識を持ち、健全な学生生活を送ることが、奨学金の獲得と学業の成功への第一歩となります。