私たちが日常的に購入する食肉には、「国産」や「外国産」といった原産地表示がなされています。しかし、もし複数の国から仕入れた肉を混ぜて販売する場合、その表示はどうすればよいのでしょうか?今回は、混合された食肉の表示ルールや景品表示法の関係について詳しく解説します。
原産地表示の基本ルール
食品表示法に基づき、食肉などの原材料には「原産国表示」が義務付けられています。一般的には、食肉を最終的に加工・包装した場所が表示されることが多く、「国産」や「アメリカ産」などと明記されます。
この表示は消費者の購買判断を支えるものであり、正確性が強く求められます。
混合肉の場合の表示義務
複数の産地の肉を混ぜて販売する場合、その全ての原産国を明示する必要があります。たとえば、国産とアメリカ産が混ざっている場合は、「国産・米国産」などと表示する必要があるとされています。
特定の産地だけを強調し、他の原産地を隠すような表示をすることは、消費者に誤解を与えるおそれがあり、景品表示法違反に該当する可能性があります。
景品表示法と「優良誤認表示」
景品表示法では、実際よりも著しく優良であると誤認させる表示(優良誤認)を禁止しています。「国産」とだけ表示しながら、実際には外国産が混ざっていた場合、この優良誤認に該当する恐れがあります。
過去には食品偽装事件で企業に措置命令や課徴金の処分が下されたケースもあり、表示内容の正確さは非常に重要です。
表示例:どのように表記するのが適正か
実際の内容 | 適切な表示例 |
---|---|
国産のみ | 国産 |
アメリカ産のみ | アメリカ産 |
国産とアメリカ産の混合 | 国産・米国産 |
産地が流動的で特定できない | 複数国産(産地不定) |
このように、実態に即した表示が求められています。
実際の行政指導・罰則の例
農林水産省や消費者庁は、表示違反が確認されれば業者に対して改善指導や処分を行います。たとえば、特定の百貨店が外国産牛肉を「国産」として販売していた事例では、消費者庁から措置命令と課徴金の納付命令が出されました。
そのため、小売業者や飲食店なども、仕入れ先や表示ラベルを正確に管理する体制が重要です。
まとめ:消費者保護と信頼のための適正表示を
国産と外国産が混合された食肉を「国産」と表示することは、景品表示法に違反する可能性が高く、厳しい処分の対象になります。混合された場合は、全ての原産地を明記することが原則です。正しい情報提供は、消費者の信頼を得るうえで欠かせない重要な要素です。