迷子の犬猫を保護したときの正しい対応とは?取得物横領を避けるための法的知識

道端で迷っている犬や猫を見かけたとき、善意から保護したくなるのは自然なことです。しかし、犬猫は民法上「物」として扱われており、無断で飼育を始めると「遺失物等横領罪」に問われる可能性があります。この記事では、犬猫を保護する際に必要な手続きや注意点を解説します。

犬猫は法的に「物」扱い?民法の基本

日本の民法では動物も「物」として扱われます(民法第85条)。つまり、犬や猫も所有権の対象であり、飼い主がいれば所有権はその人にあります。道にいたからといって、勝手に「自分のもの」にすることはできません。

そのため、迷い犬や猫を見つけた際には、まずは飼い主が存在するか確認する努力が必要です。いきなり自分の家で飼い始めると、法律上のトラブルに発展する可能性があります。

遺失物等横領罪のリスクとは

迷子の動物を届け出ずに自分のものとして扱うと、刑法254条に規定される「遺失物等横領罪」に該当する恐れがあります。これは、他人の所有物(遺失物)を届け出ることなく横領した場合に成立します。

この罪の法定刑は1年以下の懲役または10万円以下の罰金です。動物愛護のつもりでも、法的には犯罪になってしまうリスクがあるため注意が必要です。

正しい保護の手順:まずは警察や保健所へ届け出

動物を保護したら、まずは最寄りの交番や警察署に連絡をしましょう。遺失物として届け出ることで、法的な義務を果たすことができます。また、自治体によっては動物愛護センターや保健所が迷子動物の情報を取り扱っている場合もあります。

実例として、東京都では「迷子犬・迷子猫の掲示板」を用意し、届け出と同時にインターネットで情報公開も可能です。

警察に届け出た後はどうなる?一時預かりと所有権の移転

届け出後、自治体や警察の指示に従って、保護者が一時的に動物を預かるケースもあります。通常、一定期間(30日程度)飼い主が見つからなかった場合、保護者が正式に引き取ることが可能になります。

この手続きによって初めて、法的に問題なく犬や猫を「自分のペット」として迎えることができます。

SNSでの飼い主探しも有効だが注意点あり

最近ではX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを活用して迷子の動物の飼い主を探すことも増えています。写真と保護した地域・日付などの情報を投稿すると、飼い主の目に届く可能性があります。

ただし、SNS上で「この子はうちの子です」と言われても、きちんと警察などを通じた正式な確認手続きが重要です。間違って他人に引き渡してしまうトラブルも避けなければなりません。

まとめ:善意の行動こそ法的な手続きを忘れずに

犬猫を保護する行為は称賛されるべき善意ですが、正しい手順を踏まなければ思わぬトラブルを招くことがあります。警察への届け出や、保健所・動物愛護センターの利用、SNSでの呼びかけなどを組み合わせて、適切に飼い主を探す努力をしましょう。

適切な手続きのもとで命を救うことが、動物にも人にも最も優しい選択となるのです。

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