業務委託契約で発生する事故やトラブルの責任は誰が負う?医療費・損害賠償の基礎知識

業務委託契約で働くフリーランスや個人事業主にとって、お客さまや第三者に怪我を負わせてしまった場合の責任は非常に重大です。会社員とは違い、会社の労災や保険の対象にならないことも多く、自己責任での対応が求められる場面が多くあります。本記事では、業務委託契約における損害賠償責任や医療費負担の基本について解説します。

業務委託と雇用契約の違いが責任範囲を分ける

まず前提として、業務委託契約は「雇用契約」ではなく、あくまで「成果物に対する対価の支払い」を基本とした契約です。雇用契約であれば、使用者である会社に一定の責任が生じることがありますが、業務委託の場合は基本的に作業中の事故なども含めて、自身で責任を負うことになります。

たとえば、美容師やインストラクターなどの委託業務中にお客さまに怪我をさせてしまった場合、業務委託契約ではその賠償責任を自分で負う可能性が高くなります。

医療費や損害賠償の負担はどうなるのか

万が一、お客さまが怪我を負った場合、原則としてその加害者に損害賠償責任が生じます。これは医療費だけでなく、休業損害や慰謝料にまで及ぶ可能性があります。

会社との業務委託契約において、損害賠償責任について明記されていない場合でも、過失があれば民法上の不法行為として責任を問われることになります。保険未加入であれば、全額自己負担となることもあります。

契約書に記載された責任条項を確認する

業務委託契約を結ぶ際には、契約書に「損害賠償」「免責」「保険加入義務」などの条項が含まれているかを必ず確認してください。たとえば「損害が発生した場合は受託者が責任を負う」などの記載があれば、会社が関与する余地はほとんどなくなります。

逆に、事業者側(発注者)で加入している保険によりカバーされるケースもあるため、契約時に詳細を確認し、不明点があれば書面で問い合わせておくことが大切です。

民間保険や賠償責任保険への加入が重要

業務委託で働く方には、個人で加入できる「賠償責任保険」や「フリーランス保険」などを検討することを強くおすすめします。たとえば、以下のような保険があります。

  • 三井住友海上「フリーランス向け業務中の賠償責任保険」
  • 日本フリーランス協会が提供する福利厚生保険
  • 東京海上日動の個人事業主向けビジネス保険

これらの保険に加入しておけば、過失による損害賠償が発生した際に一定の範囲で補償が受けられます。

実例:整体師が顧客に怪我を負わせたケース

ある個人事業主の整体師が、施術中に誤ってお客さまの筋を痛めてしまい、治療費10万円を負担したという例があります。この方は賠償責任保険に未加入だったため、全額自己負担となり、大きな経済的ダメージを受けました。

一方、保険に加入していた別のインストラクターは、事故後すぐに保険会社を通じて対応し、補償された事例もあります。このようなリスクへの備えが非常に重要であることがわかります。

まとめ:自衛のための備えと契約内容の理解がカギ

業務委託契約では、事故時の医療費や損害賠償は自己責任となるのが一般的です。契約書の内容をしっかりと確認し、必要に応じて保険に加入するなどの対策を講じることが、自身を守るために不可欠です。備えを整えて、安心して業務に取り組める環境を築きましょう。

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