近年、初回限定価格やお試し購入を装って消費者を定期購入に誘導する悪質な通販トラブルが増加しています。中には「定期縛りなし」と謳いながら、申込時の小さな注意書きや見えにくい規約によって継続購入を強制される事例も少なくありません。本記事では、そのような通販トラブルの実態と適切な対処法について解説します。
「定期縛りなし」のはずが定期購入に?
「お試し価格」「1回限り」と記載された商品を注文したにもかかわらず、次回の定期便として高額請求された――このような事例は、近年の消費生活相談で頻繁に報告されています。定期購入とされる金額が1万円以上に達することも多く、知らずに受け取り続けてしまうと大きな損失となる恐れがあります。
このようなケースでは、販売サイトの表記や利用規約が曖昧だったり、注文完了画面に小さく「定期」と記載してあるだけなど、意図的に消費者を誤認させる販売手法が問題視されています。
詐欺に該当する可能性はあるのか
契約時の説明と実際の契約内容が大きく異なる場合、不当表示(景品表示法違反)や、場合によっては詐欺に該当する可能性もあります。ただし、法律上の「詐欺罪」は「騙す意図があったかどうか」「被害者が誤信して契約したか」などを証明する必要があり、ハードルが高いとされています。
そのため、まずは「悪質商法」「不当な継続購入契約」として、民事的または行政的な手段で解決を目指すことが現実的です。
具体的な対処法
定期購入のトラブルに遭った際、まずは販売元に対してキャンセル・解約を申し出ましょう。契約内容に不明瞭な点がある場合は、メールや電話などの履歴を残すことが重要です。次に、以下の相談機関に連絡することを検討してください。
- 消費者ホットライン(188):最寄りの消費生活センターに自動転送
- 国民生活センター:https://www.kokusen.go.jp/
- 消費者庁:悪質商法通報フォームあり
これらの機関では、法的に有効な対応のアドバイスや、事業者への指導・注意喚起を行ってくれます。
実例:よくあるトラブルとその対応
たとえば、「◯◯薬品のダイエットサプリを980円で注文したら、2回目以降は毎月1万円以上の請求がきた」「初回は投函で届いたのに、突然の高額請求書が封入されていた」といった例があります。これらの被害者は、契約時の画面をスクリーンショットして証拠とし、消費者センターに相談したことで解約・返金に成功しています。
また、事業者名が複数に分かれている、委託元と発送元が異なる場合などは、連絡先の特定が困難になるケースもあるため、まずは明細や送り状をよく確認しましょう。
トラブルを防ぐためのポイント
- 「定期縛りなし」などの文言は必ず詳細を確認
- 注文確定前の規約リンクを必ず開いて読む
- 怪しいサイトや過剰な広告文句には警戒する
- 「初回無料」「モニター募集」は特に注意が必要
不安がある場合は、注文前に口コミやレビュー、販売事業者の企業情報(特定商取引法に基づく表示)をしっかり確認しましょう。
まとめ
「定期縛りなし」とされていたのに勝手に高額な定期契約になっていた――このような通販トラブルは決して珍しくありません。まずは契約内容の確認と販売元への対応、そして国民生活センターや消費者庁などの公的機関への相談が重要です。
泣き寝入りせず、冷静に対処することで不当な請求から自分を守ることができます。