警察官による不法行為と民事賠償責任:国家賠償請求は必要か?

公務員による不法行為、特に警察官が職務中または制服着用時に行った犯罪行為については、その被害者にとってどこに賠償を求めるべきか、どのような手続きを踏む必要があるかが問題となります。この記事では、国家賠償請求の基本的な仕組みと、実際に賠償を得るための流れについて解説します。

警察官が職務中に起こした犯罪と国家の責任

警察官が職務中に不法行為を行った場合、憲法第17条および国家賠償法第1条に基づき、国がその賠償責任を負うことになります。たとえば、職務遂行中に暴行や誤認逮捕などがあった場合、国家が加害者となる形で損害賠償の請求先となります。

一方で、職務外や個人的な動機による犯罪である場合は、国家ではなく加害者個人が賠償責任を負う可能性が高くなります。この区別が、実務上とても重要になります。

国家賠償請求の手続きと流れ

国家賠償を求める場合、まずは加害行為の性質を確認する必要があります。警察官の行為が「公務員としての職務の執行」にあたると認定されると、被害者は「国」を相手取り、国家賠償請求訴訟を提起することになります。

通常は訴訟を経ないと支払いはなされません。損害額が明確であっても、国が「自主的に」賠償するケースは非常に稀で、基本的には裁判を通じて支払い命令が確定して初めて賠償が行われます。

民間と異なる国家の対応:自主的な賠償の可能性

民間企業などでは、不祥事による損害が明らかになれば示談や和解などによって迅速な賠償が行われることもありますが、国の場合は手続きが厳格です。そのため、「損害額が明確だから支払ってくれるだろう」という期待は通用しないケースが多いです。

ただし、事件の重大性や社会的影響によっては、行政側が和解を選択することもあります。これは例外的なケースで、通常は裁判所を通じた手続きが必要です。

国家賠償と別に警察官個人へ民事請求できるか

警察官が明らかに職務とは無関係な個人的動機で犯罪を行った場合は、被害者は国家ではなく加害者本人に対して損害賠償を求めることが可能です。このような場合、通常の民事訴訟で請求を行います。

ただし、仮に公務中であっても、加害者本人に対して「求償」として国家が損害賠償を請求することもあり、その結果として警察官が個人としても負担することになる可能性もあります。

被害者が知っておきたいポイント

  • 警察官の行為が職務中か否かを確認する
  • 国家賠償請求には訴訟が必要なケースが多い
  • 損害額が明確でも国が自動で支払うわけではない
  • 訴訟には証拠と根拠が求められる
  • 民事弁護士に相談することで戦略的に進められる

以上を踏まえ、損害が発生した際は早期に専門家に相談することを強くおすすめします。

まとめ

警察官による不法行為への賠償は、行為の性質により「国家賠償」または「個人賠償」に分かれます。国家に対して賠償を求める場合は、通常、裁判を通じて請求する必要があります。損害額が明確でも、自主的に支払ってもらえるケースはほとんどなく、法的な手続きが不可欠です。被害にあった際には、冷静に事実関係を整理し、必要に応じて法的支援を受けることが重要です。

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