友人や知人にお金を貸したのに、返済されず困っているという悩みは意外と多く見られます。特に「1円も返ってこない」「返済の意思すら見えない」となると、精神的なストレスも大きくなります。この記事では、そうした個人間の借金問題において、支払督促の手続きや差押えの方法まで、実践的に解説します。
支払督促とは?裁判所を通じて催促できる制度
支払督促とは、簡易裁判所を通じて、相手に法的な支払いを促す制度です。通常の裁判とは異なり、比較的簡易な手続きで済むことが特徴です。借用書やLINEでの返済約束などが証拠として有効です。
申立てに必要な主なものは以下の通りです。
- 借用書などの債務を証明する資料
- LINEやメールなどの返済合意が記録された証拠
- 印紙代と郵送費(裁判所により異なる)
異議申立てがなければ仮執行宣言が可能に
支払督促を出すと、相手に対して2週間以内に異議を申し立てる機会が与えられます。この期間内に異議がなければ、仮執行宣言付き支払督促へと進めることができます。これは、強制執行の前提となるステップです。
裁判を経ずに差押えができるようになるため、迅速な解決に繋がる可能性があります。ただし、相手が異議を申し立てた場合は通常の訴訟手続きに移行します。
給料や財産の差押えに必要な情報とは
支払督促に異議がなく、仮執行宣言が得られた後は、相手の財産に対して差押えを行うことが可能になります。特に給与や預金口座が代表的な差押え対象です。
ただし、実際に差押えを行うには、相手の勤務先や銀行口座の情報が必要です。これが分からない場合、差押えの実行は非常に困難になります。
相手の銀行口座や勤務先が分からないときの対策
銀行口座が不明な場合、弁護士を通じて弁護士会照会制度を利用する方法があります。また、相手が給与を得ている職場を特定できれば、給与差押えを申立てることが可能です。
一例として、相手がSNS等で勤務先を公表しているケースでは、そこから情報を得られることがあります。また、税務署・年金機構・市区町村役場などの公的機関への調査嘱託も弁護士経由で可能な場合があります。
法的手段に移る前に知っておきたい注意点
支払督促は便利な制度ですが、相手に支払い能力がなければ実効性は低くなります。また、相手との関係性や将来的なトラブルも考慮する必要があります。
そのため、最終的には弁護士への相談を視野に入れることも重要です。無料法律相談などを利用して、現実的な対応策を検討しましょう。
まとめ:証拠を揃えたうえで計画的に手続きを進めよう
友人への貸し金が返ってこない場合、支払督促は有効な解決手段です。借用書やLINEの履歴を証拠に、簡易裁判所で申立てを行いましょう。異議がなければ差押えも可能になりますが、相手の資産情報が必要になります。
法的手段を選ぶ前に冷静に証拠を揃え、必要に応じて専門家の助けを借りることが、後悔しない対応へと繋がります。