債務整理中に届く請求書の理由と自己破産中の支払いによるリスクとは?

債務整理を開始したにもかかわらず、クレジットカード会社やローン会社から請求書が届くと、不安に感じる方は多いのではないでしょうか。とくに自己破産を申し立てた場合、「この請求に応じて支払ってしまってよいのか?」という点で判断に迷うことがあります。本記事では、債務整理中に請求書が届く理由や、その対応方法について詳しく解説し、偏頗弁済に該当するリスクについても整理します。

債務整理中にも請求書が届く理由とは?

まず知っておきたいのは、債務整理を開始してもすぐに債権者の全部署に情報が行き渡るわけではないという点です。特に以下のような理由で請求書が継続して送付されることがあります。

  • 法務部門と請求管理部門が別組織となっており、情報共有に時間差がある
  • 受任通知を受け取った直後で、強制解約処理が完了していない
  • システム上の処理遅延や自動送付処理が停止できていない

そのため、債務整理後であっても、請求書や督促状が数週間から1か月程度届くケースは珍しくありません。

誤って支払ってしまった場合の法的リスクとは?

特に注意が必要なのが「自己破産申立中」に誤って債権者に一部でも返済してしまった場合です。これは偏頗弁済(へんぱべんさい)と呼ばれるもので、免責不許可事由の一つとされます。

偏頗弁済とは、一部の債権者にだけ優先的に弁済する行為で、公平な債務整理を妨げるものとみなされます。破産法第252条に基づき、裁判所の判断によって免責が認められない可能性があります。

偏頗弁済を回避するための注意点

債務整理を弁護士や司法書士に依頼している場合は、受任通知を送った時点で本人からの直接返済は原則停止します。請求書が届いたとしても、支払いはせず、すみやかに担当弁護士に報告しましょう。

また、すでに支払ってしまった場合でも、すぐに破産管財人または弁護士に相談すれば、故意でなかったことを説明し、免責許可が下りる可能性が残されます。

受任通知の重要性と正確な対応

債務整理を行う際には、受任通知が各債権者に確実に届いていることが非常に重要です。通知の到達をもって、督促や請求行為は法的に停止されるべき状態に入ります。

しかし、通知後に届いた書類についても記録として保管し、弁護士へ提出しましょう。これが後々の偏頗弁済の誤解を避ける手段にもなります。

実例:自己破産中に一部支払いをしたが免責許可されたケース

実際に、東京都内で自己破産を申し立てたAさんは、破産手続き開始後に誤って1万円を旧債権者に支払ってしまいました。しかし、直後に弁護士を通じて事実関係を申告し、裁判所に悪意のなかった旨を説明。結果として、偏頗弁済とみなされず、免責が認められた事例があります。

このように、問題が発生した場合でも、速やかに対応すれば致命的な影響を回避できる場合があります。

まとめ:請求書は無視せず、必ず専門家に相談を

債務整理中に請求書が届いても、慌てて支払うのではなく、なぜ送られてきたのかを冷静に把握することが重要です。そして、自分の判断で支払うことは避け、必ず担当の法律専門家に相談するようにしましょう。

適切に対応することで、自己破産における免責不許可を回避し、安心して再スタートを切ることが可能です。

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