収入差があっても財産は折半?離婚時の財産分与の基本と注意点

夫婦の一方が高収入であっても、離婚時に財産をどのように分けるべきかは多くの方が気になるテーマです。日本の法律では、収入の多寡にかかわらず「共有財産」は原則として半分ずつ分けることになっています。本記事では、離婚時の財産分与について、法律の基礎から実例、注意点まで詳しく解説します。

財産分与とは?その基本を理解する

財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いた財産を離婚時に公平に分け合う制度です。これは民法第768条に基づいており、どちらが多く稼いだかは原則として考慮されません。夫婦は「協力して財産を築く」という法的前提のもとに扱われます。

そのため、夫が外で働いて収入を得ていても、妻が家庭を支えていたなら、それも経済的価値と認められ、収入の差にかかわらず50%ずつが基本となります。

分与の対象となる財産と対象外の財産

財産分与の対象となるのは「夫婦が婚姻中に協力して築いた財産」です。これを「共有財産」と呼び、例えば以下のようなものが該当します。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 株式・投資信託
  • 退職金(離婚時点で一定の支給見込みがあるもの)

一方で、以下は「特有財産」とされ、分与の対象外となります。

  • 結婚前から持っていた財産
  • 相続・贈与で得た財産(例:実家の土地)
  • 個人名義の保険など(性質による)

高収入の夫(妻)でも平等に分ける?実例で考える

例えば、夫が年収1500万円、妻が専業主婦だった夫婦が10年間結婚生活を送っていたとします。この間に夫婦名義でマンションを購入し、夫名義で1000万円の貯金があった場合、これらは全て共有財産とみなされる可能性が高いです。

したがって、離婚時にはマンションの評価額と貯金を合わせて、半分(750万円+500万円)ずつ分けるのが原則となります。

ケースバイケースで変わる?裁判で争われるポイント

ただし、財産分与はケースバイケースで異なる判断が下されることもあります。特に「寄与度の違い」や「婚姻期間の短さ」などは分与割合に影響することもあります。

また、事業所得が大きい場合や、自営業者などの場合には、収益の一部を共有財産と見なすかどうかで争点になることがあります。こういったケースでは、家庭裁判所での調停や審判が必要になることもあります。

事前に備えるためのアドバイス

  • 結婚後の資産形成を記録(通帳・不動産登記など)
  • 共有財産と特有財産を明確にしておく
  • 必要に応じて「婚前契約」や「財産契約公正証書」の作成を検討

特に高収入の方は、財産を守るための法的整備が有効です。トラブルを防ぐ意味でも、早期に法的な助言を受けるのがおすすめです。

まとめ:収入差よりも「共同で築いたか」がカギ

離婚時の財産分与では、収入の多さそのものよりも、夫婦がどれだけ協力して財産を築いたかが判断基準になります。特に日本の法律では「公平性」を重視しており、収入差が大きくても原則として平等に分け合う形となっています。

離婚を検討している方や不安がある方は、法的なアドバイスを早めに受けておくと安心です。財産の守り方は、準備と理解から始まります。

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