交通事故などの突発的な事情によって休職したあと、復職に向けて調整期間が発生することがあります。この記事では、復職直前の待機期間中の賃金支払いの有無や、労働者として知っておくべき権利や対処方法について詳しく解説します。
休職から復職までの基本的な流れ
一般的に、病気や怪我などで休職する場合は、医師の診断書をもとに会社が休職を認め、期間中は労務提供義務が免除されます。そして、復職には主治医の意見に基づき、会社(特に産業医)の判断が必要です。
復職が決定しても、部署再編や受け入れ体制の調整などの会社側の事情で、実際の復職日が遅れるケースがあります。このような期間を「待機期間」と呼ぶことがあります。
復職許可後に働いていない期間の給与の扱い
法律上、労働者は労務を提供する義務があり、使用者はその対価として賃金を支払う義務があります。つまり、実際に働いていない期間については、基本的には給与は支払われません。
ただし、復職の可否が会社の都合によって保留されている場合、「労務提供の意思と能力」があることを労働者が示していれば、一定条件のもとで休業手当(平均賃金の60%以上)を請求できる可能性があります(労働基準法第26条)。
休業手当が適用されるケースとは?
休業手当が支給されるかどうかは、休業の原因が「使用者の責めに帰すべき事由」によるかがポイントです。たとえば、復職可能と判断されているにもかかわらず、会社都合で復職日を先延ばしにしている場合は、該当する可能性があります。
実際の例として、復職可能と判断された従業員が「部署の調整中」として2週間復職を待たされたケースで、労働基準監督署が「会社の都合による休業」と判断し、休業手当の支払いを認めた事例があります。
会社とのやり取りで注意すべきポイント
復職の意思があることを明確に伝えることが重要です。メールや書面などで「復職の意思」と「労務の提供が可能である状態であること」を記録として残しておくと、後の証拠になります。
また、会社から明確な復職日や方針の説明がない場合は、人事や上司と具体的な日程や対応策について確認し、できれば文書での回答を求めましょう。
社会保険や傷病手当金の取り扱いにも注意
休職中は健康保険から支給される「傷病手当金」を受け取っていた方も多いでしょう。復職可能と医師が判断した日以降は、原則として傷病手当金の支給対象外になります。
一方で、会社の都合で働けない場合に給与も支給されないと、無収入状態になってしまうことがあります。そのような場合は、早急に労働基準監督署や社会保険事務所に相談しましょう。
もし無給になってしまったら?対処方法
休業手当の支払いを会社が拒否する場合、まずは会社と話し合い、就業規則や労働契約書を確認のうえで交渉するのが第一です。
それでも解決しない場合は、労働基準監督署への相談や労働局の総合労働相談コーナーを活用することで、行政の力を借りることができます。法的措置を取る前に専門家の意見を得るのも有効です。
まとめ:復職前の待機期間も正しく対応しよう
復職可能であるにもかかわらず、会社の都合で復職が遅れている場合、その期間が無給となるかどうかは条件次第です。労働者としての権利を守るためには、自分の意思と状態を記録に残し、必要に応じて休業手当を請求する姿勢が大切です。
不明点があれば早めに労働基準監督署や社会保険の窓口に相談し、適切なサポートを受けるようにしましょう。