学校の授業やプレゼンテーションで本の一部を使いたいと考える学生は少なくありません。特に面白い文体やユニークな表現を紹介するために、本の一部をスライドに載せたいという場面はよくあります。では、その行為は著作権の観点から許されるのでしょうか?この記事では教育目的での本の使用について、著作権法との関係を解説します。
著作権法における「引用」と「複製」の違い
著作権法では、「引用」は一定の条件を満たす場合に限り、著作権者の許可なく使用できます。一方、写真に撮ってスライドに貼る行為は「複製」に該当する場合があり、その取り扱いが異なります。
たとえば、短い文章を引用のルールに則って紹介し、出典を明示する場合は「引用」とされ適法ですが、見開きページを丸ごと写真に撮って掲示する場合には「引用」ではなく「複製」と見なされる可能性があります。
教育機関での使用は「著作権制限規定」に該当する場合がある
日本の著作権法第35条では、教育機関内での授業目的に限り、著作物の一部を複製・使用できると定められています。これは「教育利用に関する著作権制限規定」と呼ばれ、授業や学習活動に必要な範囲であれば、著作権者の許諾なく使用することが可能です。
つまり、学校の授業内で使用し、不特定多数に公開しない限り、適法に使用できる可能性が高いのです。ただし、あくまで「必要最小限の範囲」にとどめることが前提です。
出典の明記はマナーと法的リスク回避の基本
たとえ教育目的での使用が許容される場合であっても、出典の明記は欠かせません。本のタイトル、著者名、出版社、出版年などを明記することで、著作者への敬意を示し、トラブルの回避にもつながります。
スライドの隅などに小さくても良いので、「〇〇著『書名』(出版社, 発行年)」のように表記しておくと安心です。
プレゼン資料の二次利用には注意が必要
授業内のみの使用であれば著作権の制限規定の範囲内ですが、その資料をSNSやウェブにアップする場合は別問題になります。ネットでの公開は「公衆送信」に該当し、著作権者の許諾が必要になります。
たとえば、学校のプレゼン資料を自分のポートフォリオとしてオンライン公開する場合、使用した著作物の範囲によっては違法となる可能性があります。公開前には必ず確認しましょう。
まとめ:学校プレゼンでの本の使用と著作権の考え方
学校でのプレゼンにおいて、著作物(本の内容)を使用することは、著作権法により一定の条件下で認められています。以下のポイントを押さえておけば、安心して活用できます。
- 授業内での使用に限り、教育目的の範囲で複製は許容される
- 引用や複製の際は、必ず出典を明記する
- 資料のネット公開は避けるか、著作権者の許可を得る
- 必要最小限の範囲にとどめる
著作権のルールを正しく理解し、知的財産へのリスペクトを持って活用することが、安心して学びを深める第一歩になります。