交通事故を起こしてしまった後に、すでに予定していた海外旅行を控えている場合、「行っても問題ないのか?」と不安になる方も多いでしょう。特に相手が通院中で人身事故扱いになっていると、処分の内容や進捗状況によって行動が制限されるのではと心配になります。この記事では、交通事故後の海外旅行に関する法律上・実務上の影響について詳しく解説します。
交通事故後の海外渡航は基本的に可能
まず結論から言うと、交通事故後であっても、刑事処分や行政処分が確定する前であれば海外旅行に行くこと自体は可能です。出国時に逮捕状が出ている、または出国禁止措置が取られていない限り、通常どおりパスポートと航空券があれば出国できます。
警察の捜査中であっても、拘束されていなければ行動の自由は基本的に保証されています。軽微な事故(接触や軽傷など)の場合、被疑者が出国することによって捜査や裁判が著しく妨げられると判断されない限り、特別な制限は設けられません。
人身事故と刑事・行政処分の流れ
人身事故として扱われると、刑事処分(例えば略式起訴による罰金)や行政処分(免許の点数加算・免停など)が科される可能性があります。ですが、これらの処分は正式な通知や審査が完了してから適用されるため、すぐに影響があるとは限りません。
警察官の現場での見解が「罰金はないだろう」といった内容であれば、より軽微な事故と判断されている可能性が高く、行政処分にとどまるケースも多いです。
万が一起訴された場合の影響は?
万一、事故の内容が重く、起訴される可能性がある場合はどうなるのでしょうか。起訴されると「被告人」という立場になるため、裁判所への出廷義務などが発生します。しかし、起訴前であれば、出国を禁じられることは基本的にありません。
ただし、起訴後に出国したことで「逃亡の恐れあり」と判断されると、次回以降の刑事手続に影響を及ぼすことがあります。帰国予定日や旅行先などをメモしておくと安心です。
警察や保険会社への事前連絡は必要?
軽微な事故であっても、事故処理や相手方との示談交渉が進行中である場合、一定期間の連絡が必要になることもあります。そのため、旅行に行く旨を警察や保険会社へ事前に伝えておくことは非常に重要です。
たとえば、「◯月◯日〜◯日まで海外旅行で不在になります。必要があればこの連絡先にご連絡ください」と伝えておけば、事故処理の信頼性や誠実性が高く評価され、後の処分にも良い影響を与える可能性があります。
軽微な人身事故での一般的な処分例
軽度の接触事故で人身扱いとなった場合、刑事処分が略式罰金、行政処分は3点〜6点程度の加算となるケースが多いです。重大な違反歴がなければ、免停にならずに済むことも多く、海外旅行に直接関わるような制限には至らないことがほとんどです。
なお、罰金が発生しても納付の期間は猶予があるため、旅行と重なる場合でも帰国後に対応することが可能です。
まとめ:旅行は可能だが事前連絡が安心
交通事故後であっても、処分が確定する前の段階であれば、海外旅行に行くことは原則問題ありません。ただし、警察や保険会社には不在期間を伝えておくことが、トラブル回避のためには有効です。
処分が重くなる可能性がある事故であっても、逃亡意思がないことを明確にしておけば、旅行中の影響は最小限に抑えられます。不安がある場合は、弁護士に相談しながら慎重に行動しましょう。