交通事故の加害者となり、被害者側から民事訴訟を提起されると、誰でも不安になるものです。とくに、保険会社が対応しているとはいえ、自分自身も関係者として何か準備が必要なのか、出廷義務はあるのかなど、わからないことも多いでしょう。本記事では、加害者の立場として何をすべきかを具体的に解説します。
加害者でも民事裁判に関与するのか?
交通事故で加害者が任意保険に加入している場合、通常は保険会社が被害者との交渉や訴訟対応を代行します。被害者が民事訴訟を提起しても、訴訟の当事者として原告が「被害者」、被告が「加害者本人と保険会社」という形になるケースが多いです。
したがって、保険会社が代理人として対応していれば、加害者本人が直接出廷する必要はないことが一般的です。ただし、裁判所が証人としての出廷を求める場合や、保険でカバーされない部分(故意・重過失など)がある場合は別です。
出廷要請があった場合の対応方法
仮に裁判所から本人出廷を求められた場合は、無視せずに必ず出廷してください。無断欠席は不利な印象を与えかねず、判決にも影響を与える可能性があります。
出廷時には、事実関係に基づき正確に状況を述べることが求められます。できる限り以下のような準備を行いましょう。
- 事故当時の状況を記録したメモや図(事故現場のスケッチなど)
- 自身が撮影した事故車両や現場の写真
- 保険会社とのやり取りの記録や通知書類
また、当日は誠実な態度で、質問には簡潔に正直に答えるよう心がけましょう。
保険会社に任せきりでいいのか?
基本的に保険会社が弁護士を立てて裁判対応するため、加害者自身が法的主張を行う場面は多くありません。しかし以下の点には注意が必要です。
- 保険金の支払い対象かどうかを確認する(免責条項の有無)
- 保険対応外の請求があるか確認する(慰謝料の上乗せ請求など)
- 保険会社の担当者と定期的に連絡を取り、裁判の進行状況を把握する
とくに「被害者が納得しない損害額」を追加で請求してくる場合、対応を誤ると自己負担が生じる恐れもあるため注意が必要です。
損害賠償請求の内訳と争点を理解する
被害者が提起する民事訴訟の請求内容には以下のようなものがあります。
- 修理費用
- 休業損害や通院交通費
- 慰謝料
- 後遺障害に基づく逸失利益
加害者としては「請求内容が過大ではないか」「すでに保険で支払済みの内容が含まれていないか」など、保険会社と連携して冷静に確認する姿勢が重要です。
準備しておくべき書類・対応リスト
以下の書類・情報をあらかじめ整理しておくと安心です。
- 事故発生時の報告書・警察への届け出内容
- 保険契約書のコピー
- 保険会社とのやり取りの記録(メール・電話メモ)
- 示談交渉の経緯(被害者との接触履歴)
必要に応じて、自身も法律相談(法テラスや無料相談)を利用して、保険会社の対応の妥当性を確認するのもよいでしょう。
まとめ:加害者として冷静に情報共有と準備を
民事裁判は保険会社が対応する場合でも、当事者である加害者も一定の理解と準備が求められる場面があります。突然の出廷要請や保険外請求に対応できるよう、事故当時の情報や保険契約の内容を整理し、冷静に保険会社と連携することが何より大切です。
不安が強い場合は、法テラス(日本司法支援センター)などを通じて専門家に相談しておくと安心です。