交通事故による肩関節唇損傷は、日常生活や仕事に大きな支障をもたらすことがあります。事故から半年以上経っても可動域の制限や痛みが残る場合、治療を継続すべきか、あるいは後遺障害の申請に進むべきか悩む方も多いでしょう。この記事では、肩関節唇損傷における後遺障害等級認定の可能性と、そのポイントについて詳しく解説します。
肩関節唇損傷とはどのような障害か
肩関節唇損傷は、肩関節を構成する軟骨の一部である「関節唇」が裂けたり損傷したりするケガで、交通事故や転倒などの外力によって生じます。特にスポーツ選手や交通事故の被害者によく見られる障害です。
代表的な症状には、肩の不安定感、可動域の制限、引っかかるような感覚、慢性的な痛みなどがあり、完治には長期間のリハビリが必要になることもあります。
後遺障害等級が認定される条件
後遺障害認定には、単に症状が残っているだけでなく、「医学的証拠」に基づいた証明が必要です。肩関節唇損傷の場合、以下の要件が重要になります。
- MRIやレントゲンで損傷の存在が確認できること
- 治療後も可動域の制限や疼痛が継続していること
- 医師が「症状固定」と診断し、今後の回復が困難と判断されたこと
特に可動域の測定結果が、健常側の2分の1以下であると「後遺障害12級」や「14級」が認定される可能性が出てきます。
等級の目安と事例紹介
実際に肩関節唇損傷で認定される可能性のある後遺障害等級は以下の通りです。
等級 | 症状の内容 |
---|---|
12級6号 | 肩の可動域が通常の2分の1以下に制限 |
14級9号 | 常時ではないが動作時に痛みなどの障害が残る |
例えば、ある40代男性が事故で肩関節唇損傷となり、半年のリハビリ後も服の着脱や荷物の持ち上げに支障があったため、MRIや診断書をもとに14級9号が認定されたケースがあります。
後遺障害申請に必要な準備と注意点
認定を目指す場合、以下の準備が重要です。
- 整形外科での継続的な通院記録
- MRIなどの画像診断結果
- 症状固定と診断された日付の記載された診断書
- 後遺障害診断書(医師が作成)
また、弁護士や後遺障害に詳しい行政書士に相談すると、等級認定に向けた書類作成や手続きのアドバイスが受けられます。
無理な通院は控え、納得できる時点で「症状固定」を
事故から半年以上経っても改善が乏しい場合、無理に通院を続けるよりも、医師と相談のうえで「症状固定」の診断を受けたほうが良いケースもあります。症状固定とは「医学的にこれ以上の改善が見込めない状態」を指し、後遺障害申請の出発点になります。
もちろんその時点で痛みや不具合が残っていれば、それを記録し、適切に等級申請することで、慰謝料や損害賠償請求につながる可能性があります。
まとめ:肩関節唇損傷でも後遺障害認定の可能性あり
肩関節唇損傷は、見た目では分かりにくくても重度の後遺症が残ることがあります。事故から半年以上経っても症状が続く場合、無理をせず症状固定を検討し、後遺障害認定の手続きに進むのが適切です。
MRIの診断結果・通院記録・医師の意見などをもとに準備を整え、適切な補償を受けるための一歩を踏み出しましょう。疑問があれば、専門家に相談することも重要です。