交通事故に遭ったあと、保険会社から届く書類のひとつに「免責証書」があります。これは、保険会社から治療費などの支払いを受けた被害者が、これ以上の請求をしないことを約束する書面です。この免責証書に記載された内容は、過失割合の決定や補償内容の確定と密接に関係しています。
免責証書とは何か?その役割を知る
免責証書は「示談書」とほぼ同じ役割を持ち、事故に関する一連の補償が完了したことを示します。この書面にサインをすることで、今後その事故に関して追加の損害賠償請求ができなくなります。
一般的には、治療費・慰謝料・休業補償などが含まれた金額が示され、それを受け取ったことへの同意として交わされます。
治療費の全額立替と過失割合の関係
保険会社が治療費を全額立替払いした場合、それは加害者側が事故の責任を全て負っている可能性が高いことを示唆します。もし被害者側にも過失がある場合は、支払い額に減額が反映されるケースが一般的です。
つまり、減額がなく支払われたという事実は、実質的に過失割合が「10:0」であると見なされている可能性が高いのです。ただし、免責証書の文面には過失割合が明記されていない場合もあるため、詳細確認が必要です。
「当初は10:0にならない」と言われていたのに変わる理由
事故直後に「10:0にはならないだろう」と言われることがあります。これはあくまで初期段階の判断であり、その後の調査や証拠(ドライブレコーダー、目撃証言、現場写真など)により過失割合は変動します。
最終的に免責証書で治療費が満額支払われたという事実は、相手保険会社が責任を全面的に認めた結果であるとも解釈できます。
免責証書にサインする前の注意点
- 必ず内容を読み、補償対象項目(治療費・慰謝料・交通費など)を確認する
- 不明な点はサイン前に保険会社または弁護士に確認する
- 示談成立後は原則として追加請求不可になることを理解する
納得できない内容がある場合は、サインを急がず、第三者機関への相談も視野に入れましょう。
実際のケース:減額なしで支払いされた例
例えば、青信号を直進中に対向車が信号無視で右折してきた事故では、被害者側が完全な優先であると判断され、過失割合は「10:0」になることが多いです。
このようなケースでは、免責証書にも減額の記載がなく、治療費・慰謝料ともに満額支払われたという例があります。結果として、加害者側保険会社も全面的な責任を認めたことになります。
まとめ:免責証書の内容から示談の状況を読み取ろう
交通事故後に届く免責証書は、保険対応が完了した証拠であり、治療費の減額がない=被害者側の過失がない可能性が高いです。ただし、示談内容を正式に確定させる文書でもあるため、内容の確認は慎重に行いましょう。
不明点があれば、交通事故に詳しい弁護士や「自賠責保険・共済紛争処理機構」などの第三者機関に相談するのも有効な手段です。