自己破産を検討している方の中には、「自宅にある高価なパソコンは差押え対象になるのか?」と不安に思う方も少なくありません。特に仕事や学業などで日常的に使っている場合、そのまま使い続けられるかどうかは重要なポイントです。今回は、自己破産におけるパソコンの扱いについて、具体例を交えながら解説していきます。
自己破産で差押え対象になる財産とは?
自己破産では、原則として「自由財産」以外の高額な財産は処分対象となります。自由財産とは、基本的に99万円以下の現金や生活に必要な最低限の物品などを指し、それ以外の高価な資産は「換価対象」となる可能性があります。
裁判所が換価(売却)して債権者に分配するため、原則20万円以上の価値があると判断された財産は処分される可能性があります。
20万円以上のパソコンはすぐ差押え対象になるのか?
よく誤解されがちなのが、「購入価格が20万円を超えた=必ず差押え対象」という点です。しかし、これは正確ではありません。重要なのは現在の中古市場での価値です。
例えば、4年前に20万円以上で購入したパソコンであっても、現在の市場価値が10万円程度であれば差押え対象にはなりません。また、デスクトップPCであれば、モニターやキーボードなど周辺機器も別扱いとなることが多く、それぞれが単体で20万円を超えるケースは稀です。
未払い残債がある場合の扱いに注意
今回のように分割払いで購入し、まだ支払いが残っている場合は、そのパソコンの所有権は購入者ではなく販売業者や信販会社にあります。このようなケースでは、自己破産の申し立て後に「所有権留保」として引き揚げられる可能性もあります。
ただし、所有権留保の契約内容や、実際の引き上げ対応はケースバイケースであり、弁護士を通じて調整される場合が多いため、早めに相談することが大切です。
仕事や学業で使うパソコンは配慮されることも
職業上どうしても必要な機材(パソコンを含む)の場合、破産管財人や裁判所の判断により処分の対象から除外されることがあります。特に在宅ワークやデザイン系・エンジニアなど専門職の方は、この配慮が認められることが多くなっています。
申立ての際に、「このパソコンが仕事・勉強に必要である」という理由や状況を詳細に記載し、弁護士にも協力を仰ぐことが大切です。
差押えされないようにするためのポイント
パソコンが差押え対象になるか不安な方は、次の点に注意しておきましょう。
- 購入価格ではなく現在の価値で判断されることを理解する
- 中古価格を事前に確認(メルカリ・ヤフオク・PCショップなど)
- 仕事や学習用途として使っている証拠や説明を準備
- 未払いの残債がある場合、所有権の所在を確認
まとめ:自己破産してもパソコンは必ずしも没収されない
自己破産におけるパソコンの扱いは、現在の価値・用途・所有権の状況などによって変わってきます。「20万円で買ったから没収される」といった単純な話ではありません。特に、生活や仕事、勉学に必要不可欠なものとして位置づけられる場合には柔軟な対応が取られるケースも多いのです。
最終的な判断は管財人や裁判所によりますが、不安な場合は弁護士に相談し、適切な情報を整理して申告することが何より重要です。