落とし物を拾ったとき、拾得者の個人情報は落とし主に伝えられるのか?法的観点から解説

道で財布やスマートフォンなどの落とし物を拾った際、多くの人は警察署に届け出ます。しかし、その後に「落とし主に自分の住所が知られてしまうのでは?」と不安になることもあるでしょう。本記事では、拾得物の届け出に際して警察が拾得者の個人情報を開示するかどうかについて、法律的な観点からわかりやすく解説します。

拾得物制度と個人情報の取扱い

拾得物に関する手続きは「遺失物法」に基づいて行われます。この法律では、落とし物を拾った人(拾得者)と落とし主(遺失者)の双方に一定の権利と義務が定められています。

拾得者が警察に届け出た場合、落とし主が現れた際に一定の謝礼を受け取る権利や、一定期間落とし主が現れなければ所有権を得る権利があります。これに伴い、必要に応じて警察が両者の連絡を取ることになります。

警察が拾得者の住所を伝えるケースは?

原則として、警察は拾得者の個人情報を落とし主に直接伝えることはありません。ただし、拾得者が謝礼を受け取ることを希望した場合などには、拾得者の氏名と住所などが落とし主に通知されることがあります。

これは「遺失物法施行規則」に基づいた対応であり、拾得者があらかじめ「個人情報を伝えてほしくない」と意思表示をしていれば、警察はその旨を落とし主に伝えるだけで、詳細な住所は伏せられることもあります。

拾得者が謝礼を辞退した場合

警察に届け出る際に、謝礼の辞退を申し出ることが可能です。この場合、拾得者の情報は原則として落とし主に伝えられません。

例えば、「拾った財布を交番に届けたが、謝礼は不要」と申し出た場合、落とし主には「謝礼辞退の申し出があった」とだけ伝えられ、拾得者の住所や氏名は開示されません。

具体例:実際のケースと対応

ある学生が駅でスマートフォンを拾って警察に届け出たところ、後日落とし主から感謝の手紙が届きました。このケースでは、学生は謝礼を辞退し、連絡先は伝えないことを選択しましたが、落とし主が警察を通じて感謝の気持ちを伝えたのです。

このように、個人情報を保護しつつも、感謝の意を伝える手段は用意されています。

まとめ:落とし物を拾ったときのポイント

拾得者の個人情報が落とし主に伝えられるかどうかは、謝礼を希望するかどうか、個人情報提供の同意をするかどうかにかかっています。警察に届け出る際は、これらの点を確認したうえで適切に意思表示をすることが重要です。個人の善意がトラブルにつながらないよう、制度とルールを理解しておくことが安心につながります。

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