公共工事による家屋損傷の補償は受けられる?長期工事と振動被害の対応策とは

公共工事が長期間にわたって行われる地域では、騒音や振動などによる住宅被害が深刻な問題になることがあります。特に複数の工事名称・業者にまたがるケースでは、補償の手続きや責任の所在があいまいになりがちです。この記事では、そうした状況での補償申請のポイントと対処方法をわかりやすく解説します。

公共工事による家屋損傷の補償制度の概要

公共工事による家屋のひび割れや構造変化などの損傷に対しては、発注元(国や自治体)や施工業者が補償責任を負う可能性があります。これは「損失補償制度」や「民事不法行為責任」が根拠になるケースが多く、事前・事後の家屋調査がカギになります。

基本的に工事前に行われる「事前家屋調査」で建物の現況を記録し、工事後の「事後調査」で異常が発生していれば補償が検討されます。調査が一度だけで済まされている場合は、記録の鮮度や正確性が問題になることもあります。

工事が変わるたびに補償対象もリセットされるのか

工事の名称や業者が変わっても、実質的に同一の地域・影響範囲で継続的に工事が行われている場合、補償対象が完全にリセットされるわけではありません。むしろ、連続性のある工事と認定されることで、継続的な振動・騒音による影響が認められる可能性があります。

ポイントは、「影響を受けた時点ごとに証拠を残しておくこと」です。各工事の開始・終了時期や、被害状況を時系列で記録しておくと有利に働きます。

補償請求の時効と「1年以内」ルールの扱い

一般的に、損害の発生を知った日から1年以内に申し出なければならないとされています(民法第724条)。しかし、長期工事や被害が継続する場合には、この起算点が明確でないため、柔軟に判断される余地があります。

実際に一連の工事の影響が続いていると考えられる場合は、「現在も損害が発生中」として申し出ることで、補償対象になりうるのです。諦めずに申し立てましょう。

行政とのやりとりのコツと記録の取り方

対応する担当者が変更されることはよくあります。やりとりは必ず書面やメールで記録し、日時や相手の名前を残しておくようにしましょう。電話だけのやり取りでは証拠になりづらいため、書類としてのエビデンス化が重要です。

また、家屋に関する写真、動画、損傷箇所の説明を定期的に保存しておくと、補償を主張する際に大きな武器となります。

実例紹介:長期工事による補償が認められたケース

たとえば、東京都内で10年にわたる連続した道路拡張工事の振動により、木造住宅に亀裂が生じたケースでは、住民が提出した写真記録と家屋調査記録が根拠となり、最終的に補修費用の一部が支払われました。

この事例でも工事名称や業者が変わっていたため、当初は責任の所在が不明確でしたが、発注者である自治体の一貫した工事と認定され、住民の粘り強い記録と訴えが功を奏しました。

まとめ:泣き寝入りしないために今からできること

公共工事により自宅に被害が生じた場合、補償を受けるには被害の証拠と継続的な訴えが不可欠です。たとえ工事が長期にわたっていても、「被害が現在進行形である」ことを明示できれば補償対象となる可能性は十分にあります。自治体や弁護士会の無料相談も活用し、泣き寝入りせずに権利を主張していきましょう。

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