交通社会では、車両の動き一つが大きな事故につながることがあります。特に、優先道路を走行中のドライバーが予期せぬ危険運転車両により急ブレーキを強いられた場合、その後の対応や法的責任は気になるところです。今回は、こうしたケースにおける慰謝料請求や過失割合など、法的観点からのポイントを解説します。
優先道路の定義と車両の優先権
優先道路とは、交差道路よりも優先的に通行できる道路のことを指し、標識などで明示されています。法律上は、優先道路を走行する車両には明確な優先権があり、他の車両は一時停止や進入時の安全確認が義務づけられています。
したがって、優先道路に割り込む形で無理な進入を行い、他車に急ブレーキを強いる行為は、法的にも過失と見なされる可能性が高いです。
急ブレーキによる乗員への影響と慰謝料の可否
急ブレーキにより車内の乗員、特に妊婦など体への影響を受けやすい方が体調を崩した場合、その責任を第三者に問える可能性はあります。ただし、これは以下の要件を満たす必要があります。
- 加害者車両の危険運転を立証できる証拠がある
- 実際に乗員が治療を要する被害を受けた(診断書等)
- 加害者の特定が可能である
たとえば、ドラレコ映像があれば「急アクセルで進入した」「一時停止後の安全確認がなかった」といった具体的な行動が裏付けられるため、慰謝料請求の根拠として非常に有効です。
事故が起きた場合の過失割合について
仮に今回のような状況で接触事故などが発生した場合、優先道路を走行していた側と一時停止側での過失割合は、原則として以下のようになるケースが多いです。
- 優先道路側:1〜2割
- 非優先道路側:8〜9割
ただし、優先道路側が法定速度を大きく上回っていた、または著しい前方不注意があったと認定されると、その割合が変動することもあります。
実際にあった判例と対応事例
過去には、「優先道路を走行中、非優先車両が一時停止せず進入し接触。妊婦が乗っていた車両が事故後に治療を受けた」という事案で、加害者側に治療費・慰謝料などが認定された判例もあります。ポイントは、被害の因果関係と加害者の過失行為が明確であるかどうかです。
また、被害届を出して警察に事情説明を行うことで、「当て逃げ」や「危険運転」などの対象として扱ってもらえる可能性も出てきます。
ドラレコや証言の重要性
ドライブレコーダーや後続車の証言など、第三者的な証拠はトラブル解決において極めて重要です。加害者がその場から逃走した場合でも、ナンバー情報や外観の特徴などをもとに追跡される可能性があります。
ドライブレコーダーの映像は、自分の無過失を主張する際の「唯一の客観的証拠」となるため、常時録画設定にしておくことが推奨されます。
まとめ
優先道路を走行中に無理な進入車両のせいで急ブレーキを強いられ、同乗者に健康被害が生じた場合は、加害者に対して慰謝料請求ができる可能性があります。そのためには、証拠の確保・警察への届出・医師の診断書取得などが必要です。事故に至らなくても、明らかな危険運転であれば、警察へ相談することで安全な交通環境づくりにも貢献できます。