遺産相続には「思ったよりも時間がかかる」という声が多く、なかには半年から1年以上かかるケースもあります。相続手続きが長引く理由は、財産の規模に限らず、法的手続きや親族間の調整の難しさなど、さまざまです。この記事では、相続に時間がかかる主な要因と、よくあるケースを具体的に解説します。
そもそも遺産相続とはどんな手続きか
相続は、亡くなった方（被相続人）の財産を、法定相続人が引き継ぐための一連の法的手続きを指します。財産には、現金・預金・不動産だけでなく、借金や保証人の義務といった「負の財産」も含まれます。
手続きには、戸籍の収集、遺言書の確認、財産の調査・評価、相続人間での協議、相続税申告など多くの工程があり、どれか1つでも時間がかかれば全体も長期化します。
遺産分割協議が長引く理由
財産を誰がどのように分けるかを決める「遺産分割協議」は、相続人が複数いる場合に必須です。この協議は、必ず全員の合意が必要であり、以下のような理由で時間を要することがあります。
- 相続人の意見が食い違う
- 相続人が遠方に住んでおり、話し合いが進まない
- 認知症などで判断能力に制限がある相続人がいる
こうした事情があると、半年～1年程度の時間がかかるのは珍しくありません。
相続財産の内容によっても難易度が変わる
不動産や株式など「分けにくい財産」が多い場合、分割方法を決めるのが難航します。たとえば、実家の土地や建物の扱いをめぐって揉めるケースは典型例です。
また、地方に不動産があった場合、その評価額の調査や名義変更のために現地に出向く必要があり、遠方から対応する場合は時間と労力がかかります。愛知県に長く住んでいた人が地元に戻るといった話も、これに該当する可能性があります。
特別な「名家」や「資産家」だけの話ではない
相続が半年以上かかるからといって、それが名家や資産家である証拠とは限りません。むしろ、預貯金が少なくても、不動産があるだけで時間がかかることはよくあります。
たとえば、価値のある不動産が複数人で共有されていた場合、売却か、誰か1人が買い取るかといった話し合いが必要になります。こうしたプロセスは、感情的な対立を生みやすく、話がまとまらないまま月日が経つのも珍しくありません。
相続税申告の期限も関係する
相続税の申告期限は、被相続人の死亡から10ヶ月以内と定められています。遺産分割が終わっていなくても、この期限は変わらずやってくるため、専門家に依頼する場合も含めて計画的な対応が必要です。
実際、遺産の分割協議が長引くことで、税理士や司法書士との連携が必要となり、結果として半年以上の期間がかかることがあります。
まとめ：半年かかる相続は決して珍しくない
遺産相続に半年以上かかるのは、財産が多いからとは限りません。不動産がある、相続人が複数いる、話し合いが難航するなど、さまざまな事情が影響します。誰にでも起こり得ることなので、「時間がかかった＝名家・資産家」とは一概に言えないのが現実です。
相続をスムーズに進めるには、早めに専門家に相談し、手続きを整理することが大切です。