自損事故によって後遺障害が残った場合、保険会社からの補償に対して疑問や不満を抱くことは少なくありません。特に「逸失利益が支払われない」と説明されたとき、多くの方が「本当にそうなのか?」と不安になります。この記事では、自損事故による後遺障害と逸失利益に関する仕組みやポイントをわかりやすく解説します。
そもそも「逸失利益」とは何か?
逸失利益とは、事故による後遺障害などで将来得られるはずだった収入が減少したことによる損害を指します。通常は過失のある相手がいる事故で、損害賠償請求の一環として認められる項目です。
例えば、労働能力の低下によって収入が下がったとき、その差額を「逸失利益」として請求できる仕組みです。
自損事故保険と後遺障害保険金の違い
自損事故における保険(多くは任意保険の「自損事故傷害特約」など)は、相手がいない事故でも一定の補償を受けられる仕組みです。ただし、その支払は損害賠償ではなく、定額制の「保険金」です。
たとえば、後遺障害等級10級であれば、約75万円(保険会社により異なる)が支払われることが一般的で、それ以上の逸失利益は補償対象に含まれないのが通常です。
なぜ逸失利益が支払われないのか?
保険会社の説明にある通り、「自損事故保険」はあくまで定額支払制度です。これは、被保険者自身の過失による事故をカバーする仕組みであるため、損害賠償を前提とした損失補填(逸失利益など)には対応していないのです。
つまり、「計算しないのはおかしい」と主張しても、保険の約款(契約内容)上、逸失利益の支払い義務がないため、法的にはその説明が妥当となります。
他の補償制度や救済手段はあるのか?
収入減少により生活が苦しくなった場合は、労災保険や障害年金、生活保護など他の制度を併用することが考えられます。また、加害者がいた場合は損害賠償請求によって逸失利益を求めることが可能です。
弁護士特約が付帯している保険に加入していれば、法律の専門家に相談してアドバイスを受けることも現実的な手段です。自損事故でも契約内容によってはより手厚い補償があることもあるため、詳細を確認しましょう。
実例:後遺障害10級の補償額と誤解
例として、Aさんがバイク事故で後遺障害10級と認定されました。自損事故特約により75万円が支払われましたが、それ以外の損害(休業損害や逸失利益)は支払われず、Aさんは不満を抱きました。しかし契約書を確認すると、「逸失利益の支払対象外」と明記されており、保険会社の対応は規約通りでした。
このように、自損事故の場合は契約条項を超えての補償は難しく、誤解が生じやすい点でもあります。
まとめ:納得できないときこそ内容確認と相談を
自損事故における後遺障害保険金は、契約内容に応じた定額の給付が原則であり、逸失利益の計算はされないことが多いです。ネット上の他人のケースと比較する前に、自分の契約内容と保険約款をよく確認しましょう。
不明点がある場合は、弁護士や保険の専門家に相談することで正しい理解と納得のいく対応が可能になります。感情的にならず、冷静に制度を理解することが大切です。